電気料金の内訳として請求書で確認するのは、基本料金と電力量料金に、燃料費調整額と再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)を加えた、主に4つの項目です(※1)。ただ、これらの項目を眺めても、支払ったお金が何に使われているのかまでは分かりません。
基本料金や電力量料金の単価には、発電や電気の調達にかかる費用のほか、送配電網の利用料である託送料金や、税金も含まれています(※2、※3)。項目ごとに、何の費用で、何が動くと金額が変わるのかを押さえておけば、請求額が上がったときに原因を確かめられます。なお本記事では、需要家と契約して請求書を発行する小売電気事業者を、文脈に応じて「電力会社」とも書きます。
本記事では、請求書の項目と計算式から始めて、基本料金と電力量料金の決まり方(低圧・高圧・特別高圧)、単価のもとになる費用(発電・調達、託送料金、容量拠出金)、燃料費調整額と再エネ賦課金、消費税と値引き、電気料金が上がったときの見分け方、小売電気事業者の料金設計と請求実務までを、順に説明します。
毎月の請求書(紙の検針票や、Webサイト・アプリの明細)には、契約の内容、その月の使用量、料金の内訳と合計額が載っています。内訳の金額は、契約の内容と使用量に単価を当てはめて計算され、合計したものが請求額です。
【図1】請求書の見本と項目の対応

請求の内容は、紙の検針票(「電気ご使用量のお知らせ」など)か、電力会社の会員向けWebサイトやアプリで確認できます(※2、※4)。Webサイトやアプリでは、料金が確定するとメールなどで知らせる電力会社もあります(※4)。また、料金メニューによっては、紙の検針票の発行に手数料がかかる場合もあります(※5)。
金額以外の欄には、契約種別(料金メニューの名前)、契約アンペア、契約容量(kVA)または契約電力、使用期間(使用日数)、検針日、使用量が載っています(※4、※6)。契約種別はどの料金表で計算するかを示し、契約アンペアや契約容量、契約電力は基本料金の計算に使われます。前月や前年同月の使用量を並べ、増減の割合まで示している請求書もあります(※4)。高圧の請求書では、契約電力とあわせて、過去12か月の各月の最大需要電力を載せている例もあります(※7)ので、気になる場合は注意してみてみましょう。
スマートメーターが設置されている場合、使用量は、一般送配電事業者が自動で計量した値をもとに算定されます。計量は、地域ごとに定められた毎月の計量日に行われます。スマートメーター以外のメーターでは、検針日に現地で検針します(※8)。計量した値が請求に使われるまでの流れは、スマートメーターとMDMS(メーターデータ管理システム)の解説記事にまとめていますので、そちらもあわせてご覧ください。
金額の欄には、基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再エネ賦課金、割引や値引き、請求額が並びます(※1、※9)。請求書は契約先の小売電気事業者が発行するもので、どの金額をどの欄にどんな名前で載せるかは事業者ごとに異なります。そのため、手元の請求書が図1と同じ並びになっているとは限りません。
月々の電気料金は、基本料金と電力量料金に、再エネ賦課金を加えた合計です(※1)。
電気料金 = 基本料金 + 電力量料金 + 再エネ賦課金
電力量料金は、使用量に電力量料金単価を掛けた額に、燃料費調整額(使用量×燃料費調整単価)を加算するか、差し引いて求めます。再エネ賦課金も、使用量に単価を掛けて計算します(※1)。
電力量料金 = 電力量料金単価 × 使用量 ± 燃料費調整単価 × 使用量
再エネ賦課金 = 再エネ賦課金単価 × 使用量
請求書で燃料費調整額が別の行に書かれていても、計算の上では電力量料金の一部です(※9)。割引や国の支援による値引きがある月は、その分が差し引かれて実際の請求額になります。
基本料金は、契約の大きさに応じて毎月かかる料金で、まったく電気を使わなかった月は半額になる契約もあります(※9、※10)。電力量料金は、使った量に応じてかかる料金です。基本料金の決まり方は、契約の区分によって大きく変わります。以下、順番に説明していきます。
電気の契約は、受電する電圧によって低圧・高圧・特別高圧に分かれます。契約電力の目安は、低圧が50kW未満、高圧が50kW以上2,000kW未満、特別高圧が原則2,000kW以上です(※7、※10、※11)。家庭や商店は低圧、ビルや工場の多くは高圧か特別高圧で電気を受けています(※12)。また高圧では、500kWを境に契約電力の決め方が変わります(※7、※10)。
表1 区分別の基本料金の決まり方
区分 | 契約電力の目安 | 基本料金の算定方法 | 主な利用者 |
|---|---|---|---|
低圧 | 50kW未満 | 契約アンペア、契約容量(kVA)または契約電力(kW)に応じた額、または一定の使用量までの最低料金。基本料金を設けない料金メニューもある | 家庭、商店、小規模な事務所 |
高圧(500kW未満) | 50kW以上500kW未満 | 単価×契約電力。契約電力は当月と前11か月の最大需要電力で決まる(実量制)。力率で割引・割増 | 事務所、学校、病院、店舗、中小規模の工場 |
高圧(500kW以上) | 500kW以上2,000kW未満 | 単価×契約電力。契約電力は協議で決まる(協議制)。力率で割引・割増 | 規模の大きいビル、工場 |
特別高圧 | 原則2,000kW以上 | 高圧(500kW以上)と同じく協議制 | 大規模な工場、商業施設 |
注:区分の境目や契約電力の決め方は、電力会社や料金メニューによって異なる場合があります。
家庭向けの従量電灯の基本料金は、主に次の2つの方式のどちらかで決まります。1つは、契約アンペアが大きいほど基本料金が高くなる方式です(※9)。もう1つは、基本料金の代わりに、一定の使用量(たとえば最初の15kWh)までを最低料金とする方式です(※13)。どちらが使われるかは、地域や料金メニューによって違います。
このほか、契約容量(kVA)に応じて基本料金が決まる契約や、動力向けの低圧電力のように契約電力(kW)で決まる契約もあります(※14)。自由料金には、基本料金がなく、使った量だけに単価を掛けて計算する料金メニューもあります(※15)。
高圧・特別高圧の基本料金は、契約電力(kW)に単価を掛けて計算します(※10、※11)。契約電力のもとになるのが最大需要電力(デマンド)です。30分ごとの平均使用電力を測り、その月の最大値を最大需要電力とします(※7)。契約電力500kW未満の高圧では、当月と前11か月の最大需要電力のうち大きいほうの値が契約電力になります(実量制)(※7、※10)。ある月に大きな最大需要電力が出ると、その月を含む12か月間の基本料金に影響します(※10)。その間にさらに大きな値が出れば、その値に置き換わります。
契約電力500kW以上の高圧と特別高圧では、1年を通じての最大の負荷などをもとに、需要家と電力会社が協議して契約電力を決めます(協議制)(※7、※11)。
力率は、送られる電力(皮相電力)のうち、機器の仕事に使われる電力(有効電力)が占める割合です(※16)。皮相電力は、電圧と電流を掛け合わせた見かけ上の電力で、電力会社が需要家まで送り届けている電力の大きさにあたります。言い換えると、力率とは、送られてきた電力のうち実際に機器の仕事に使われた分の比率で、残りはモーターやトランスの磁界をつくるために行き来するだけで仕事をしない電力(無効電力)です。力率が低いほど、実際に使う分より多くの電力を送る必要があります(※7)。高圧の請求書には、力率の計算に使う有効電力量と無効電力量を載せている例があります(※7)。
高圧の料金メニューでは、力率が85%を上回ると、上回る1%ごとに基本料金を1%割り引き、85%を下回ると、下回る1%ごとに1%割り増す扱いが一般的です(※7、※10)。判定に使う力率は、たとえば毎日8時から22時までの平均です(※10)。
電力量料金の単価の決まり方は、料金メニューによって違います。大手電力の規制料金のうち、家庭向けの従量電灯は三段階料金で、使用量の段階ごとに単価が分かれ、使用量が多い段階ほど単価が高くなります(※13、※15)。
自由料金には、時間帯や平日・休日、季節によって単価が変わる料金メニューや(※15)、卸電力取引所の価格に連動する料金メニューもあります(※2)。高圧の料金メニューにも、夏季とその他の季節で単価が分かれているものがあります(※10)。時間帯別や市場連動型など、料金メニューの種類は、電力コラム「電力料金メニューを徹底解説」で詳しく解説しています。
単価のもとになる主な費用は、発電と調達の費用、託送料金、税金です(※3)。容量拠出金も小売電気事業者が負担する費用ですが、料金への反映の仕方は事業者ごとに異なります(※17)。
【図2】電力量料金の単価に含まれる費用の構成

小売電気事業者は、発電事業者との相対契約や、卸電力取引所などを通じて電気を調達します(※2、※17)。事業者の裁量で決まる費用には、自社の電源で発電する場合の燃料費・減価償却費・修繕費と、他社から買う場合の購入電力料があります(※3)。燃料費調整を取り入れた料金メニューでは、燃料費の上下が燃料費調整額として料金に反映されます。
容量拠出金は、将来の供給力(kW)を確保する容量市場の費用です。電力広域的運営推進機関は、オークションで確保した供給力の対価を支払っており、その原資を小売電気事業者、一般送配電事業者、配電事業者に請求します(※17)。小売電気事業者への請求は2024年度分から始まりました(※17)。容量拠出金相当額として、契約電力に応じて別の項目で請求する料金メニューもあります(※18)。仕組みと小売電気事業者への影響は、容量市場の解説記事で詳しく説明しています。
託送料金は、小売電気事業者が送配電網を使うために支払う料金で、地域の一般送配電事業者が託送供給等約款で定めます(※3、※19)。大手電力の小売部門も、販売した電気の量に応じて負担しています(※3)。託送料金には、送配電部門の人件費、設備修繕費、減価償却費、固定資産税のほか、電源開発促進税、賠償負担金、廃炉円滑化負担金などが含まれます(※3)。資源エネルギー庁が2023年に示した説明では、一般家庭の電気代に占める託送料金の割合は約3割です(※2、※20)。
2023年4月から、託送料金はレベニューキャップ制度のもとで算定されています。一般送配電事業者が5年間の事業計画と、その実行に必要な費用の見通し(収入の見通し)を作り、国の承認を受けた見通しを超えない範囲で料金を設定する仕組みです。5年の途中でも、エネルギー情勢の変化などがあれば見通しの変更が認められます(※20)。2024年4月には、収入の見通しの変更と発電側課金の導入に伴って託送料金が見直され、このときの託送供給等約款の変更は同年1月に認可されています(※14、※20)。約款の変更は、このように経済産業大臣の認可を受けて行う場合と、承認済みの見通しの範囲内で届出によって行う場合があります(※19)。
大手電力の規制料金(経過措置料金)の単価は、国のルールに沿って決まります。まず、電気を届けるのに必要と見込まれる費用(燃料費、設備費、人件費、託送料金など)に、適正な利潤を加えた金額を「総原価」として見積もります。その総原価を、料金収入でちょうどまかなえるように単価を設定します。この決め方を総括原価方式といいます(※2、※3)。
規制料金の単価を変えるときの手続きは、変更の中身によって2つに分かれます。
1つは、認可が必要な変更です。燃料費や設備費の見込みを見直して総原価そのものを上げるような値上げは、経済産業大臣の審査を受け、認可を得なければ実施できません(※3)。
もう1つは、届出で済む変更です。たとえば託送料金が改定されたとき、その改定分をそのまま単価に反映するだけであれば、総原価の見積もりを見直すわけではないため、審査を伴う認可は不要であり、経済産業大臣に届け出れば実施できます。2024年4月の託送料金の見直しでは、大手電力はこの届出によって規制料金の単価を改定しました(※13、※14)。
一方、自由料金の単価には、こうした認可や届出の規制はありません(※2、※3)。託送料金のように法令等に基づいて算定される費目はそのまま織り込み、電気の調達費用など残りの費目は事業者が自ら算定して、単価を設定します。
表2 規制料金と自由料金の違い
項目 | 規制料金(経過措置料金) | 自由料金 |
|---|---|---|
単価の決め方 | 総括原価方式 | 法令等で算定される費目と、事業者の裁量で算定する費目の合計 |
改定の手続き | 値上げは経済産業大臣の認可。託送料金の変動の反映などは届出 | 認可などの規制はなく、事業者が定めた手続きで改定 |
燃料費調整の上限 | あり(基準燃料価格の1.5倍) | ないものが多い |
代表例なもの | 大手電力の従量電灯A・B・Cなど | 大手電力・新電力の自由料金メニュー |
どの費用を、どの単価に、どの時期に反映するかは、小売電気事業者が料金を設計するうえでの判断です。規制料金と自由料金の違いや、新電力の料金の組み立て方は、新電力の解説記事で確認できます。
燃料費調整額と再エネ賦課金は、単価が定期的に改定される項目です。燃料費調整単価は毎月、再エネ賦課金の単価は年度ごとに変わります(※21、※22)。
燃料費調整は、火力発電の燃料(原油・LNG・石炭)の価格の変動を、為替の影響も含めて電力量料金に自動で反映する仕組みであり、電気料金メニューの多くに取り入れられています(※21)。燃料価格が上がれば電気料金が上がり、下がれば下がります(※21)。大手電力の規制料金では、各月の3〜5か月前の燃料の輸入価格(貿易統計)の平均をもとに、燃料費調整単価を毎月見直します(※21)。たとえば5月から7月の燃料価格は、10月分の料金に反映されます(※23)。
規制料金には、反映できる燃料価格に上限(基準燃料価格の1.5倍)があります(※21)。資源エネルギー庁が2023年に示した説明では、自由料金には上限がないものが多いとされています(※2)。2026年10月分は燃料価格が上限を超えたため、規制料金では上限の燃料価格で単価を算定しており、上限のない自由料金では同じ月の燃料費調整単価が規制料金を上回っています(※23、※24)。
再エネ賦課金は、固定価格買取制度などで電力会社が再生可能エネルギーの電気を買い取る費用の一部を、電気の使用者が使用量に応じて負担するものです(※3、※22)。単価は全国一律で(※3)、毎年度、再エネ特措法に定められた方法で経済産業大臣が設定します(※22)。再エネの導入状況や卸電力市場価格などを踏まえて算定され、5月検針分から翌年4月検針分までの電気料金に適用されます(※22)。単価の推移や負担が減免される範囲は、再エネ賦課金の解説記事で紹介しています。
消費税や値引きは、料金表や請求書での示し方が一律ではありません。とくに値引きは、独立した行に表示されるとは限りません。
電気料金には消費税がかかります。料金表の単価は消費税等相当額を含めて示されることが多く(※9、※13)、請求書には、消費税等相当額を内訳として再掲しているものもあります(※7)。このほか、託送料金には電源開発促進税が含まれています。
割引には、口座振替割引のほか(※9)、ガスや通信など他のサービスとのセット割引、長期契約や節電に応じた割引などがあり(※15)、種類や条件は電力会社や料金メニューによって異なります。
国の支援による値引き(電気・ガス料金支援)は、使用量1kWhあたりの値引き単価を差し引く形で反映され、需要家側の手続きは必要ありません(※25、※26)。燃料費調整単価から値引き単価を差し引く電力会社もあり、その場合、値引きは燃料費調整額の中に含まれて表示されます(※25、※26)。値引きをどの月の請求に当てるかは、使用月と料金月のずれを踏まえて、請求書を発行する小売電気事業者が料金月に対応づけます。
請求額が上がったときは、使用量が増えたのか、単価が上がったのか、値引きが減ったのかを項目ごとに分けて確かめると、原因を絞り込めます。
表3 項目別の値上げ要因
項目 | 何が動くと変わるか | 改定の頻度 | 確認する場所 |
|---|---|---|---|
使用量 | 季節、設備の増減 | 毎月 | 請求書の使用量の欄(前月・前年同月との比較) |
基本料金(高圧・特別高圧) | 契約電力(実量制では最大需要電力の更新)、力率 | 毎月(実量制は過去12か月で決まる) | 請求書の契約電力・最大需要電力・力率の欄 |
電力量料金の単価 | 規制料金の改定、託送料金の見直し、自由料金の事業者による改定 | 改定のたび | 電力会社の料金表、改定のお知らせ |
燃料費調整額 | 燃料の輸入価格と為替 | 毎月 | 請求書の燃料費調整単価、電力会社のWebサイト |
再エネ賦課金 | 国が定める単価 | 年度ごと(5月検針分から) | 請求書の再エネ賦課金単価 |
割引・値引き | 国の支援や期間限定の割引の開始・終了 | 支援・割引の期間による | 請求書の値引きの行、燃料費調整単価の注記 |
最初に確かめるのは、使用量が前月や前年同月より増えていないかです。使用量が増えた分だけ、電力量料金と再エネ賦課金も多くなります。燃料費調整額も使用量に単価を掛けて計算するため、単価がプラスの月は増え、マイナスの月は差し引かれる額が大きくなります(※24)。三段階料金では、使用量が上の段階に入った分に高い単価がかかります(※15)。
使用量がほとんど変わらないのに請求額が上がった場合は、燃料費調整単価と再エネ賦課金の単価を前月と比べます。燃料価格の動きは数か月遅れて燃料費調整単価に表れるため、燃料価格の上昇が報じられた時期と、請求額が上がる時期はずれます(※21)。
高圧・特別高圧の契約なら、実量制の契約電力が上がっていないかと、力率が85%を下回っていないかも確かめます(※10)。請求書に過去12か月の最大需要電力が載っていれば、どの月の値が今の契約電力を決めているかが分かります(※7)。
単価や使用量が変わらなくても、国の支援や期間限定の割引が終われば、値引きがなくなった分だけ請求額は上がります。2026年夏の支援は、7月から9月の使用分(低圧の場合、8月分から10月分の料金)が対象でした(※25)。
燃料費調整額を電力量料金の内訳に含めるか独立させるか、託送料金相当額を参考値として併記するか(※7)、市場価格調整のような独自の調整項目を設けるか(※10、※24)は、事業者によって違います。項目の見せ方は、需要家からの問い合わせの件数を左右します。値引きを燃料費調整単価に織り込むと、値引きの行を設けずに済む代わりに、支援が終わった月に「燃料費調整額が急に上がった」と受け取られることがあります。項目を細かく分けると内訳は追いやすくなりますが、名前だけでは中身の分かりにくい行が増えます。
託送料金、容量拠出金、燃料費が変わったときに、どの費目にどう反映するかは小売電気事業者ごとの料金設計の判断です。2024年4月の託送料金の見直しでは、中国電力の例で、需要側の託送料金の減少分を電力量料金の単価に、新たに設けられた発電側課金のうち固定費分を基本料金に、可変費分は電力量料金にそれぞれ反映されました(※14)。同じ費用の変動でも、基本料金と電力量料金のどちらに乗せるかで、使用量の少ない需要家と多い需要家への影響が変わります(※13)。
改定の手続きは、規制料金なら認可や届出、自由料金なら事業者が定めた手続きです。需要家への周知も実務の一部で、電力の小売営業に関する指針では、低圧の需要家には変更の60日前まで、高圧・特別高圧の需要家や需要家数が1万件以上の場合は90日前までの周知が求められています(※29)。2024年4月の改定を再び中国電力の例でみると、報道発表とWebサイトに加えて、検針票、メール、SMS、会員サイトで重ねて知らせています(※14)。
国の支援による値引きは、決まってから実施までの期間が短くなりがちです。2026年夏の支援では、6月2日に大手電力などが料金の特例措置を申請し、6月12日に経済産業省が認可し、7月使用分から値引きが始まりました(※25)。
請求の実務では、使用月と料金月のずれに注意がいります。低圧では7月使用分が8月分の料金になる一方、高圧の大口のように当月の使用分を当月分の料金とする契約もあります(※24)。そのため同じ支援でも、どの料金月にどの値引き単価を当てるかが契約区分ごとに変わります。値引きの対象になるかどうかも、区分によって異なります。国の値引き単価は低圧と高圧について定められており、特別高圧で受電する中小企業などへの支援は、地方公共団体の重点支援地方交付金で行われています(※25、※27)。終了の月には、値引きがなくなった理由を需要家に説明する場面が増えます。
CIS(顧客情報管理システム)は、顧客と契約の情報を管理し、料金の計算から請求までを担うシステムです。時間帯別、季節別、市場連動型と料金メニューの種類が増えるほど、計算の材料も増えます。とくに時間帯別や市場連動型では、スマートメーターの30分ごとの計量値を、単価表や時間帯の区分と正しく突き合わせる必要があります(※28)。そのうえで、燃料費調整や市場価格調整、値引きを重ねて料金を計算します。
私たちの支援の現場では、「改定のたびに計算ロジックの改修が必要になる」という声を頻繁に伺います。そのたびに改修していると、改定の時期が早まったときに間に合わせるのが難しくなります。料金メニューの定義と単価の更新を、改修ではなく設定で扱えるCISであれば、改定や新しい料金メニューの追加に合わせて、計算と請求を進められます。
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A. 違います。項目の名前や、どの項目にどの金額をまとめるかは、電力会社によって異なります。燃料費調整額に別の調整額を合わせて「燃料費等調整額」とする例や、託送料金相当額を参考値として併記する例があり(※7)、市場価格調整のような独自の項目を設ける電力会社もあります(※10)。
A. 各電力会社のWebサイトの料金表か、契約時や更新時に交付される書面で確認できます(※7、※10)。大手電力の規制料金の単価は特定小売供給約款に定められており、各社のWebサイトで公開されています(※2、※6)。
A. 名前だけでは判断できません。基本料金0円とうたう料金メニューにも、使用量に単価を掛けた額だけを請求するものと(※15)、託送料金相当額や容量拠出金相当額を、契約電力に応じて別の名前で請求するものがあります(※18)。安くなるかどうかは、同じ使用量で、請求額の合計を比べて判断しなければなりません。
A. 日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場価格などの動きが、電力量料金の単価や市場価格調整額を通じて料金に反映される料金メニューです。市場価格が下がれば料金も下がりやすい一方、夏や冬に市場価格が高騰すると、料金も大きく上がるおそれがあります(※2)。
A. 燃料費調整単価は毎月、再エネ賦課金の単価は毎年度の5月検針分から改定されます(※21、※22)。託送料金や規制料金の単価は国の認可や届出に応じて、自由料金は事業者が定めた手続きで改定されます(※3、※19)。
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※1 資源エネルギー庁「月々の電気料金の内訳」:https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/spec.html
※2 資源エネルギー庁「電気料金の改定について(2023年6月実施)」:https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/kaitei_2023/
※3 資源エネルギー庁「料金設定の仕組みとは?」:https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/pricing/
※4 九州電力「「電気ご使用量のお知らせ」の確認方法」:https://customer.kyuden.co.jp/ja/moving/result/notification.html
※5 九州電力「書面発行手数料の設定」:https://customer.kyuden.co.jp/ja/electricity/system/document-fee.html
※6 九州電力「電気料金の仕組み」:https://customer.kyuden.co.jp/ja/electricity/system.html
※7 九州電力「電気のご案内」(特別高圧・高圧、2026年9月):https://www.kyuden.co.jp/library/pdf/business/agreement-download/denkinogoannnai261101.pdf
※8 資源エネルギー庁「スマートメーターで変わる使用量の確認方法」:https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/smartmeter.html
※9 九州電力「従量電灯B」:https://customer.kyuden.co.jp/ja/electricity/home-plan/jyuryo-b.html
※10 関西電力「高圧電力AS(主契約料金表)」2025年4月1日実施:https://biz.kepco.jp/pdf/elec/menu/500kw_less/202504/kouatsu_denryoku_as.pdf
※11 関西電力「特別高圧電力A(主契約料金表)」2025年4月1日実施:https://biz.kepco.jp/pdf/elec/menu/extra_high/202504/tokubetsu_kouatsu_denryoku_a.pdf
※12 資源エネルギー庁「電力自由化で料金設定はどうなったの?」:https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/liberalization.html
※13 関西電力「託送供給等約款の変更に伴う規制分野の電気料金の見直し」2024年2月6日:https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2024/pdf/20240206_1j.pdf
※14 中国電力「託送供給等約款の変更認可に伴う特定小売供給約款の変更届出について」2024年2月19日(電力・ガス取引監視等委員会 料金制度専門会合 資料3-7):https://www.egc.meti.go.jp/activity/emsc_electricity/pdf/0054_03_07.pdf
※15 資源エネルギー庁「使用量や時間によって変動する料金制度」:https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/ratesystem.html
※16 九州電力送配電「業務用・産業用電力をご契約のお客さま(契約電力500kW未満)」:https://www.kyuden.co.jp/td/service/meter/gyomu-sangyo-500kw.html
※17 電力広域的運営推進機関「容量拠出金を知ろう!」:https://www.occto.or.jp/capacity-market/kyoshutsukin_know/
※18 Looop「電気料金種別定義書【スマートタイムONE(電灯)】」2026年9月1日実施:https://looop-denki.com/assets/files/contract/smarttimeone_dentou.pdf
※19 経済産業省「中国電力ネットワーク株式会社から託送供給等約款の変更届出を受理しました」2026年8月24日:https://www.meti.go.jp/press/2026/08/20260824001.html
※20 電力・ガス取引監視等委員会「電力託送料金について~2024年4月からの変更点~」:https://www.egc.meti.go.jp/info/pamph/pdf/2024_04.pdf
※21 資源エネルギー庁「燃料費調整制度について」:https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/fuel_cost_adjustment_001/
※22 経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」:https://www.meti.go.jp/press/2025/03/20260319004/20260319004.html
※23 関西電力「燃料費調整制度」:https://kepco.jp/ryokin/seido/
※24 関西電力「2026年10月分電気料金の燃料費調整等」2026年8月28日:https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2026/pdf/20260828_1j.pdf
※25 経済産業省「2026年7月、8月及び9月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可・承認を行いました」2026年6月12日:https://www.meti.go.jp/press/2026/06/20260612003/20260612003.html
※26 関西電力「「電気・ガス料金支援」の実施に伴う電気料金および都市ガス料金の措置(申請)」2026年6月2日:https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2026/pdf/20260602_2j.pdf
※27 資源エネルギー庁「エネルギー価格の支援について」:https://www.enecho.meti.go.jp/category/gekihen_lp/
※28 資源エネルギー庁「電力データ活用による新たな付加価値創造」2021年9月(規制改革推進会議 ワーキング・グループ資料2):https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/econrev/210917/210917keizaikasseika_02.pdf
※29 経済産業省「電力の小売営業に関する指針」(2026年6月8日最終改定):https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/summary/regulations/kouri20260608.pdf
2026年10月21日
この記事の監修者

甲斐 博一
ユニファイド・サービス株式会社 CMO
グローバルIT企業における23年間のマーケティング経験に経営企画のスキルも加えB2B/B2Cともに経営とマーケティングを結び付けていくことをモットーとする。また、数多くのデジタルマーケティングおよびECの立ち上げや衰退ビジネスの立て直しも経験し、Webサイトを事業に貢献させてきた経歴を持つ。現在はユニファイド・サービスにて、B2B領域のビジネスにフォーカスし、CMOとしてマーケティングを推進すると同時に、新規事業計画と成長を支援する活動を並行して実践中。経営とマーケティング、事業企画、そしてリーダーシップを次世代に伝えていくための活動もライフワークとして行っている。