社内で認識がズレがちなのが、この3つの言葉の違いです。
・ 更新:ニュースリリースやお知らせの追加など、日常的な運用範囲での情報追加・修正を指します。
・ 改修:既存のサイト構造やデザインベースは維持しつつ、特定のページ修正や機能追加を行うことです。「部分的なリフォーム」のイメージに近いです。
・ リニューアル:サイトの設計、構造、デザイン、システムを根本から見直し、全面的に刷新することです。「建て替え」に近い大規模なプロジェクトとなります。
今抱えている課題が「改修」で済むのか、それとも「リニューアル」が必要なのかを冷静に判断するフレームワークを持つことが重要です。
リニューアルは投資です。投資対効果を最大化するためには、どの経営課題を解決するのかを明確にする必要があります。主な目的は以下の6つに分類できます。
1.売上向上型:リード獲得数の増加、EC機能の拡充など、直接的な利益創出を目指します。
2.ブランディング型:企業イメージの刷新、CI(コーポレートアイデンティティ)変更への対応、ブランド価値向上を目指します。
3.体験改革型:サイト内検索機能の強化、AIチャットボットの導入による問い合わせ対応の効率化、視覚的なデザイン刷新や操作性の改善など、ユーザー体験(UX)を抜本的に向上させます。体験改革は、ブランドイメージの向上によるブランディング効果と、コンバージョン率改善による売上向上の両方に貢献する、投資対効果の高い施策です。
4.業務効率化型:使いにくいCMSの刷新、更新作業の内製化推進により、運用コストと負荷を軽減します。
5.採用強化型:採用サイトとコーポレートサイトの統合や、求職者への訴求力向上を目指します。
6.コンプライアンス対応型:Webアクセシビリティ対応(障害者差別解消法)、セキュリティ強化、個人情報保護法対応などを行います。
以下の兆候が見られたら、部分的な改修ではなく、リニューアルを検討すべきタイミングです。
・ アクセス数・コンバージョン(CV)数が長期的に低下傾向にある。
・ 前回のリニューアルから5年以上が経過し、デザインやUIが古臭く感じる。モダンなUIではなくなり、サイト内体験が時代遅れに感じられることで、サイト滞留時間が低下している。
・ スマートフォンでの閲覧に支障がある、または表示速度が著しく遅い。
・ 利用しているCMSやサーバーのサポートが終了する、またはセキュリティリスクがある。
・ データ管理が複雑化しており、このまま運用を継続すると工数が増え続けていく懸念がある。コンテンツの追加・修正に必要以上の手間がかかり、運用効率が悪化している。
・ M&Aや新規事業立ち上げなど、企業の事業戦略や組織体制に大きな変化があった。
制作費用は、ページ数(ボリューム)、デザインのこだわり(工数)、システム開発(機能)の3要素で大きく変動します。
規模 | ページ数目安 | 費用相場 | 特徴 |
|---|---|---|---|
小規模 | 10〜30ページ | 100〜300万円 | テンプレート活用や最低限の機能でコストを抑えるケース。コーポレートサイトの基本形。 |
中規模 | 30〜100ページ | 300〜600万円 | オリジナルデザイン、CMSカスタマイズ、コンテンツ制作(取材・撮影)を含む一般的な企業サイト。 |
大規模 | 100ページ超 | 600〜2,000万円超 | 高度なシステム連携、会員機能、多言語対応、マーケティングオートメーション(MA)連携などを含む。 |
「安ければ良い」というものではありません。安価な見積もりには、重要な工程(要件定義、SEO設計、検証など)が含まれていないリスクがあります。「安かろう悪かろう」を避けるためにも、見積もりの内訳を精査する視点が必要です。
費用と同様に、期間も規模に比例します。
・ 小規模:2〜3ヶ月
・ 中規模:3〜5ヶ月
・ 大規模:6ヶ月以上
スケジュール遅延の最大の原因は「社内確認の遅れ」と「コンテンツ原稿の未提出」です。制作会社の作業期間だけでなく、社内の意思決定や素材準備にかかる期間をバッファとして見込んだ「逆算スケジュール」を立てることが肝要です。
中小企業の場合、補助金を活用することで実質的な負担を大幅に軽減できる可能性があります。
・ IT導入補助金:生産性向上に寄与するITツール(CMSやEC機能など)の導入費用を補助。
・ 小規模事業者持続化補助金:販路開拓を目的としたWebサイト制作・改修に利用可能。
その他、各自治体が独自のDX支援助成金を設けている場合もあります。補助金制度は年度ごとに内容や申請要件が変更されるため、リニューアル検討時には中小企業庁や各自治体の公式サイトで最新情報を必ず確認する必要があります。
自社サイトのリニューアル費用など具体的に知りたい方は、無料相談をご利用ください。
ステップ | 作業名 | 主な作業内容 | 成果物 |
|---|---|---|---|
1 | 現状分析と目標設定 | GA4等でアクセス解析、ヒートマップ分析、課題の可視化 | 現状分析レポート、KGI/KPI設定書 |
2 | 要件定義 | 機能要件・非機能要件の整理、各部門へのヒアリング | 要件定義書、ヒアリングシート |
3 | RFP作成 | 背景・目的・要件・予算・納期・評価基準の文書化 | RFP(提案依頼書) |
4 | 予算確保・社内稟議 | 企画書作成、経営層への説明、承認取得 | 稟議書、プロジェクト企画書 |
ステップ1:現状サイトの課題分析と目標設定
Google Analytics 4(GA4)などのアクセス解析ツールを用いて、現状の数値(PV、直帰率、CV率など)を把握します。また、ヒートマップツールやユーザーテストを行い、「どこでユーザーが離脱しているか」「何が使いにくいか」を可視化します。これらを基に、今回のリニューアルで達成すべきKGI(重要目標達成指標)とKPI(重要業績評価指標)を設定します。
ステップ2:要件定義の進め方とドキュメント作成
「どのような機能が必要か(機能要件)」、「サーバー性能やセキュリティレベルはどうするか(非機能要件)」を整理します。この段階で、営業、マーケティング、人事など各部門へのヒアリングを行い、社内の要望を漏らさず吸い上げることが重要です。
ステップ3:RFP(提案依頼書)の作成方法
RFP(Request For Proposal)とは、制作会社に対して「どのようなサイトを作りたいか」を伝えるための公式文書です。背景、目的、ターゲット、機能要件、予算、納期、評価基準などを明確に記載します。RFPの質が、制作会社からの提案の質を左右します。曖昧な表現(「かっこいいデザイン」など)は避け、具体的なイメージや参考サイトを共有することが必要です。
ステップ4:予算確保と社内稟議のポイント
作成した要件と概算費用を基に、企画書を作成して社内稟議を通します。経営層を説得するためには、「なぜ今やる必要があるのか」「やらなかった場合のリスクは何か」を明確にし、費用対効果をロジカルに説明する必要があります。
ステップ | 作業名 | 主な作業内容 | 成果物 |
|---|---|---|---|
5 | 制作会社選定・契約 | 提案依頼、提案評価、契約条件の確認・締結 | 契約書、NDA |
6 | サイト設計 | サイトマップ作成、ワイヤーフレーム作成、導線設計 | サイトマップ、ワイヤーフレーム |
7 | デザイン・開発 | ビジュアルデザイン、コーディング、CMS構築、構造化マークアップ | デザインカンプ、開発環境 |
ステップ5:制作会社の選定と契約
複数の制作会社にRFPを送り、提案を受けます。コンペ形式で複数社を競わせる方法もありますが、必ずしもコンペが最善とは限りません。特定の1社とじっくり対話しながら進めるほうが、自由に相談でき、結果として提案の質が上がる側面もあります。自社の状況や要件に応じて、最適な選定方法を選択することが重要です。選定基準(実績、提案内容、担当者との相性、運用体制など)に基づき、パートナーを決定します。契約時には、著作権の帰属先や瑕疵担保責任、保守条件などを入念に確認する必要があります。
ステップ6:サイト設計(サイトマップ・ワイヤーフレーム)
サイトマップで全体のページ構成を決め、ワイヤーフレーム(画面設計図)で各ページのレイアウトや要素を決定します。ユーザーの導線設計(UXデザイン)や、コンバージョンへの誘導が論理的に設計されているかを確認します。
ステップ7:デザイン制作とコーディング・開発
ワイヤーフレームに基づき、デザイナーがビジュアルを作成します。デザイン確定後、エンジニアがコーディング(HTML/CSS/JavaScript)やシステム開発(CMS構築)を行います。このフェーズでは、定例会議を設けて進捗と課題を細かく管理することが重要です。また、AI時代においては、検索エンジンや生成AIがコンテンツを正確に理解できるよう、構造化マークアップ(JSON-LD等)の実装も必須となります。構造化マークアップは公開後に追加するのではなく、開発フェーズで組み込んでおくことで、効率的かつ確実に実装できます。
ステップ | 作業名 | 主な作業内容 | 成果物 |
|---|---|---|---|
8 | テスト・検収 | 動作確認、表示検証、不具合修正、最終承認 | テスト報告書、検収書 |
9 | 公開・告知 | DNS切替、SEO設定確認、リリース告知 | 公開完了報告、プレスリリース |
10 | 効果測定・改善 | KPIモニタリング、改善施策の実行、PDCAサイクル | 月次レポート、改善提案書 |
ステップ8:テスト・検収の進め方
開発が完了したら、テスト環境で動作確認(テスト)を行います。リンク切れ、表示崩れ、フォームの動作確認、スマホでの表示チェックなど、検証項目は多岐にわたります。不具合があれば修正し、最終的な検収を行います。
ステップ9:公開作業とリリース告知
DNS切り替えなどの公開作業を行います。公開直後は、SEOの設定(sitemap.xmlの送信、robots.txtの確認、301リダイレクトの動作確認)を必ずチェックする必要があります。同時に、プレスリリースやSNS、メルマガなどで社内外へリニューアルを告知します。
ステップ10:効果測定とPDCAサイクルの回し方
公開はゴールではなくスタートです。ステップ1で設定したKPIに基づき、効果測定を開始します。初期の数値を見ながら改善施策の優先順位を決め、継続的なPDCAサイクルを回していく体制を構築します。
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プロジェクトの途中で「やっぱりこんな機能が欲しい」「デザインの方向性が違う」といったちゃぶ台返しが起きる原因は、初期の合意形成不足にあります。
よくある失敗パターン: 経営層は「ブランディング強化」を期待していたのに、現場担当者は「問い合わせ数の増加」を目標にしていた。結果、デザイン案が何度も差し戻され、スケジュールが大幅に遅延した。
具体的な対策: キックオフ段階で、経営層・関係部門・プロジェクトチームが一堂に会し、リニューアルの目的とKPIを文書化して合意を取ります。「〇〇を達成するためのリニューアルである」という共通認識を持つことが、手戻りを防ぐ最大の防御策です。
チェック項目:
☐ プロジェクト憲章(目的・スコープ・体制)を作成したか
☐ 各ステークホルダーから書面で合意を得たか
☐ KPIの計測方法と目標値を具体的に定めたか
リニューアルで最も怖いのが、アクセス数の激減です。旧サイトで評価されていたページのSEO評価を引き継ぐために、適切な移行計画が必須です。
よくある失敗パターン: URL構造を変更したにもかかわらず、301リダイレクトを設定し忘れた。公開後、主要キーワードの検索順位が圏外に落ち、オーガニック流入が半減した。
具体的な対策: 旧URLと新URLの対応表(リダイレクトマップ)を作成し、すべてのページに301リダイレクトを設定します。特にアクセス数の多いページや被リンクを獲得しているページは、絶対に漏れがないよう優先的に確認することが必要です。
チェック項目:
☐ 全ページのリダイレクトマップを作成したか
☐ 被リンク獲得ページを特定し、優先対応したか
☐ 公開前にリダイレクトの動作テストを完了したか
☐ Search Consoleで旧サイトマップを削除し、新サイトマップを送信したか
経営層や担当者の「好み」だけでデザインを決めてはいけません。見た目の美しさと使いやすさは別の概念です。
よくある失敗パターン: 役員の「もっとスタイリッシュに」という一声でデザインを大幅変更。結果、ボタンが小さくなり、フォントも細くなり、特にシニア層のユーザーから「使いにくい」という声が殺到した。
具体的な対策: デザイン決定の前に、ペルソナ(ターゲット像)を明確に定義します。そのペルソナにとって使いやすいか、求めている情報にたどり着けるかという「ユーザー視点」を常に最優先することが重要です。可能であれば、プロトタイプ段階でユーザーテストを実施し、実際の反応を確認することを推奨します。
チェック項目:
☐ ペルソナを定義し、関係者間で共有したか
☐ デザイン評価の基準を「好み」ではなく「ユーザビリティ」に設定したか
☐ 公開前にターゲット層によるユーザーテストを実施したか
誰が最終決定権者なのか、誰が原稿を用意するのか。役割分担が曖昧だと、ボールが落ちてスケジュールが遅延します。
よくある失敗パターン: 「デザインの最終承認は誰がするのか」が曖昧だったため、複数の役員から別々のフィードバックが来て収拾がつかなくなった。結果、公開予定日を2ヶ月延期した。
具体的な対策: PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)機能を設置し、進行管理の責任者を明確にします。また、RACI表(Responsible/Accountable/Consulted/Informed)を作成し、各タスクの責任者・承認者を可視化することが有効です。
チェック項目:
☐ プロジェクトオーナー(最終決定権者)を1名に絞ったか
☐ RACI表を作成し、全員に共有したか
☐ 定例会議の頻度と参加者を決めたか
☐ エスカレーションルート(問題発生時の報告経路)を定めたか
「既存の記事を移行するだけ」と思っていても、実際にはレイアウト調整や画像の差し替えなど、膨大な作業が発生します。
よくある失敗パターン: 500ページの既存コンテンツを「そのまま移行」する想定で見積もりを取った。しかし実際には、画像サイズの統一、不要ページの削除判断、リンク修正などで想定の3倍の工数がかかり、追加費用が発生した。
具体的な対策: プロジェクト初期にコンテンツの棚卸し(インベントリ)を行い、「残すもの」「捨てるもの」「作り直すもの」を早い段階で決断することが必要です。特に、アクセス数が少なく情報も古いページは、思い切って廃止することでコストを抑えられます。
チェック項目:
☐ 全ページのコンテンツインベントリを作成したか
☐ 各ページの「残す/捨てる/作り直す」を判断したか
☐ 原稿・素材の準備担当者と締切を明確にしたか
☐ 移行作業のテスト(サンプルページでの検証)を行ったか
「作ったはいいが、更新できる人がいない」という事態は避けなければなりません。
よくある失敗パターン: 高機能なCMSを導入したが、操作が複雑で現場担当者が使いこなせなかった。結果、簡単な更新でも毎回制作会社に依頼することになり、運用コストが想定の倍になった。
具体的な対策: 内製でどこまでやるのか、外注するなら費用はいくらか。公開後の運用フローと体制も、要件定義の段階で決めておくべき事項です。また、CMSの操作研修や、マニュアル作成も制作範囲に含めておくことを推奨します。
チェック項目:
☐ 公開後の更新頻度と担当者を決めたか
☐ CMS操作研修を制作範囲に含めたか
☐ 運用マニュアルの作成を依頼したか
☐ 保守契約の内容(対応範囲・費用・SLA)を確認したか
目先のコスト削減で古いシステムを使い続けると、将来的にセキュリティリスクや拡張性の欠如といった「技術的負債」になります。
よくある失敗パターン: 予算を抑えるために古いバージョンのCMSをそのまま使い続けた。2年後、セキュリティの脆弱性を突かれてサイトが改ざんされ、緊急対応と信頼回復に多大なコストがかかった。
具体的な対策: リニューアルは技術的負債を解消する絶好の機会です。拡張性が高く、セキュリティが堅牢なCMSやインフラを選定することが、長期的なコストダウンにつながります。また、将来的なシステム連携(MA、CRM、ECなど)を見据えたAPI対応の可否も確認しておく必要があります。
チェック項目:
☐ CMS・サーバーのサポート期限を確認したか
☐ セキュリティ要件を明確に定義したか
☐ 将来的な機能拡張の可能性を洗い出したか
☐ API連携の可否を制作会社に確認したか
1.実績または洞察:自社と類似した業界・規模の実績が豊富か。実績がなくても、業界や課題に対する深い洞察を持ち、的確な提案ができるかどうかも重要な評価ポイントとなります。
2.提案力:RFPに対して、単なる御用聞きではなく、課題解決のための独自の提案があるか。
3.コミュニケーション:担当者のレスポンスは早いか、説明はわかりやすいか。
4.運用体制:公開後のサポート体制や保守メニューは充実しているか。
5.技術力:最新のCMS、SEO、セキュリティ、AI技術への知見があるか。
AI時代のWebサイトにおいて、最も重要なのは「データマネジメント」です。なぜなら、生成AIも検索エンジンも、Webサイトのデータを「読み取り」「理解し」「活用する」ことで機能しているからです。
人間は多少構造が乱れたページでも文脈から内容を推測できます。しかし、コンピュータ(AI・検索エンジン)は、正しく構造化されたデータでなければ深く理解することができません。
AI時代に求められるデータマネジメントの4つの要件:
・ 情報設計(タクソノミーの構築):Webサイトに掲載する情報を、どのように分類・整理するかの体系を設計する。カテゴリ、タグ、属性情報を一貫したルールで定義し、情報同士の関係性を明確にする。この情報設計がすべての土台となる。
・ コンテンツの論理的記述(セマンティックHTML):設計した情報体系に基づき、各ページのコンテンツを論理的に記述する。見出し階層(h1〜h6)、リスト、テーブルなどのHTML要素を意味的に正しく使用し、人間にもコンピュータにも理解しやすい構造をつくる。
・ 機械可読データの付与(JSON-LD):論理的に記述されたコンテンツに対して、さらに明示的な意味づけを行う。「これは製品情報である」「これは企業の所在地である」「これはFAQである」といった情報の種類と属性をJSON-LD形式で記述し、AIや検索エンジンが情報を正確かつ深く理解できるようにする。
・ メタデータの標準化:タイトル、ディスクリプション、OGP、canonical URLなど、ページ単位の付帯情報を統一ルールで管理する。どのチャネルやデバイスからアクセスされても、一貫した情報が伝わるようにする。
これら4つの要件は、「情報設計→論理的記述→機械可読化→メタ情報管理」という流れで相互に連携しています。リニューアルの要件定義段階で、「人間にとって見やすいか」だけでなく、「コンピュータにとって理解しやすいか」という視点を持つことが、今後のWebサイト価値を大きく左右します。
ChatGPTやPerplexity、GoogleのAI Overviewなど、生成AIがユーザーの質問に直接回答するシーンが急増しています。この変化は、Webサイト運営者にとって「自社サイトに来訪してもらえない」というリスクであると同時に、「AIの回答ソースとして選ばれれば、信頼性の高い情報源として認知される」というチャンスでもあります。
AIに選ばれる情報源になるためのポイント:
・ E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の強化:著者情報の明示、専門家監修の表記、一次情報・独自データの公開など、コンテンツの信頼性を高める要素を充実させる。
・ 明確で簡潔な回答の提供:AIが引用しやすいよう、質問に対する回答を冒頭で端的に述べ、その後に詳細説明を続ける構成を意識する。
・ ファクトチェックと情報鮮度の維持:誤情報や古い情報はAIからの信頼を失う原因になる。定期的なコンテンツ監査と更新が必須。
・ ブランドの一貫性:AIが複数ページから情報を収集しても、企業としてのメッセージや価値観が一貫して伝わるよう、トーン&マナーを統一する。
「Webサイトへの訪問がなくても、AIを通じて自社の専門性や信頼性が伝わる」――そのような状態を目指すブランディング設計が、これからのリニューアルには求められます。
AIの進化により、ユーザーは「受動的に情報を読む」だけでなく、「能動的に対話しながら情報を得る」体験に慣れつつあります。Webサイトにおいても、一方通行の情報提供から、双方向のインタラクティブな体験へと進化させることが、エンゲージメント向上の鍵となります。
インタラクション性を高める具体的な施策:
・ AIチャットボットの実装:FAQ対応だけでなく、製品選定のサポート、見積もりシミュレーション、予約受付など、コンバージョンに直結する対話体験を提供する。
・ パーソナライゼーション:ユーザーの閲覧履歴や属性に応じて、表示するコンテンツやおすすめ情報を動的に変更し、「自分ごと」として感じられる体験を実現する。
・ インタラクティブコンテンツ:診断ツール、計算シミュレーター、比較表ジェネレーターなど、ユーザーが操作しながら情報を得られるコンテンツを用意する。
・ マイクロインタラクション:ボタンのホバーエフェクト、スクロールアニメーション、フィードバック表示など、細やかな動きでユーザーの操作感を心地よくする。
来訪者が「このサイトは自分の疑問に応えてくれる」「使っていて楽しい」と感じる体験設計が、滞在時間の延長、再訪率の向上、そしてコンバージョン率の改善につながります。
Webサイトは「作って終わり」ではなく、公開後も継続的にコンテンツを更新し、改善し続けるものです。しかし、多くの企業が「更新作業が煩雑で手が回らない」「修正のたびに制作会社への依頼が必要」といった課題を抱えています。
AI時代には、コンテンツの更新頻度と鮮度がこれまで以上に重要になります。だからこそ、リニューアル時に「メンテナンス性の高い設計」を組み込んでおくことが不可欠です。
メンテナンス性を高めるための設計指針:
・ ヘッドレスCMSの採用:コンテンツ(データ)と表示(フロントエンド)を分離することで、Webサイト、アプリ、SNS、デジタルサイネージなど複数チャネルへの配信を一元管理できる。
・ コンポーネント設計:ページを「ヘッダー」「本文」「CTA」などの部品(コンポーネント)に分解し、再利用可能な形で管理することで、更新工数を削減する。
・ ワークフローの整備:コンテンツの作成→承認→公開→アーカイブまでのフローをCMS上で管理し、属人化を防ぐ。
・ APIファーストの設計思想:外部システム(MA、CRM、ECなど)との連携を前提とした設計により、将来的な機能拡張に柔軟に対応できる。
「今は必要ない機能」でも、3年後、5年後には必要になるかもしれません。技術的負債を生まない、拡張性の高い基盤設計が、長期的なコスト削減と競争力維持につながります。
AI時代においても、Webサイトの基本性能である「速度」「安全性」「誰もが使えること」の重要性は変わりません。むしろ、ユーザー体験の基盤として、これらの要素はより厳格に求められるようになっています。
表示速度(パフォーマンス):
Googleが重視するCore Web Vitals(LCP・INP・CLS)への対応は、SEO順位に直結します。特にモバイルでの表示速度は、ユーザーの離脱率に大きく影響します。
・ 画像の次世代フォーマット(WebP、AVIF)対応
・ JavaScriptの遅延読み込み・分割
・ CDN(コンテンツ配信ネットワーク)の活用
・ サーバーレスポンスタイムの最適化
セキュリティ:
サイバー攻撃の巧妙化に伴い、Webサイトのセキュリティ対策は経営リスクの観点からも必須です。
・ WAF(Web Application Firewall)の導入
・ SSL/TLS証明書の適切な管理
・ CMS・プラグインの定期的なアップデート
・ 改正個人情報保護法に対応したCookie同意管理(CMP)の実装
アクセシビリティ:
障害者差別解消法の改正により、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されました。すべての人がWebサイトを利用できるよう、WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)への準拠が求められます。
・ 適切な色のコントラスト比の確保
・ キーボード操作への対応
・ スクリーンリーダーで読み上げ可能なマークアップ
・ 動画への字幕・音声解説の提供
これら3つの要素は、個別に対応するのではなく、リニューアルの設計段階から統合的に考慮することで、効率的かつ確実に実装できます。
・ 目的設定と合意形成:何のためにリニューアルするのか、KPIは何かを社内で徹底的にすり合わせる。売上向上、ブランディング、体験改革、業務効率化、採用強化、コンプライアンス対応の6つの目的類型から、自社の優先課題を明確にすることが出発点となる。
・ AI時代への対応:データマネジメントと情報の構造化がすべての土台となる。情報設計、セマンティックHTML、構造化マークアップ、メタデータの標準化により、人間だけでなくAI・検索エンジンにも理解されるWebサイトを構築する。生成AIに「選ばれる」情報源となるブランディング視点も不可欠である。
・ パートナー選定:実績または洞察、提案力、コミュニケーション、運用体制、技術力の5軸で評価し、共に走れる信頼できる制作会社を選ぶ。コンペ形式にこだわらず、じっくり対話できる関係性を重視することも有効である。
・ 継続的な改善:公開はスタート地点。「運用」と「データ」に基づく改善を続けることで、投資対効果は最大化される。
これからリニューアルを検討されるなら、AI時代の新しいスタンダードに対応した基盤を選ぶことが重要です。
ユニファイドサービスの「Unisrv AI Ready Web」は、AI時代の基礎となるデータマネジメントと情報の構造化を核に、最新のAI技術とヘッドレスCMSを統合した次世代のWebサイト基盤です。
・ データマネジメント基盤:情報の分類・整理から構造化マークアップまで、AI時代に求められるデータ設計を標準装備。AI検索やAIエージェントに対応した構造化データを効率的に生成・管理できます。
・ 運用効率化:ヘッドレスCMS採用により、コンテンツの一元管理を実現。Web、アプリ、SNS、デジタルサイネージへのマルチチャネル配信が可能となり、更新工数を大幅に削減します。
・ 高い拡張性:APIファーストの設計思想により、MA、CRM、ECなど外部システムとの連携に柔軟に対応。将来的な機能追加にも対応でき、技術的負債を防ぎます。
「AIを活用できる強いWebサイトを作りたい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
2026年1月28日
この記事の監修者

甲斐 博一
ユニファイド・サービス株式会社 CMO
グローバルIT企業における23年間のマーケティング経験に経営企画のスキルも加えB2B/B2Cともに経営とマーケティングを結び付けていくことをモットーとする。また、数多くのデジタルマーケティングおよびECの立ち上げや衰退ビジネスの立て直しも経験し、Webサイトを事業に貢献させてきた経歴を持つ。現在はユニファイド・サービスにて、B2B領域のビジネスにフォーカスし、CMOとしてマーケティングを推進すると同時に、新規事業計画と成長を支援する活動を並行して実践中。経営とマーケティング、事業企画、そしてリーダーシップを次世代に伝えていくための活動もライフワークとして行っている。