Webサイトへのトラフィックは複数の経路から構成されます。Google Analytics 4(GA4)では、これらを「チャネル」として分類しており、各チャネルの特性を理解することがWeb戦略の基盤となります。
リスティング広告(Paid Search)
検索結果の上部・下部に「スポンサー」ラベル付きで表示される広告枠です。Google広告やYahoo!広告を通じて出稿し、クリックごとに課金が発生します。即効性がある一方、出稿を停止すれば流入も途絶えます。First Page Sageの2025年調査(*1)によれば、リスティング広告のトップ位置のCTR(クリック率)は約2.1%であり、オーガニック検索1位の約39.8%と比較すると大きな差があります。
(*1)出典:First Page Sage「Google Click-Through Rates by Ranking Position 2025」
ダイレクト(Direct)
URLの直接入力、ブックマークからのアクセス、メールやチャットアプリ内のリンククリックなどが該当します。ブランド認知度の高い企業や、既存顧客からのリピートアクセスが多いサイトで比率が高くなる傾向があります。
ソーシャル(Social)
X(旧Twitter)、Facebook、LinkedIn、InstagramなどのSNS経由での流入です。情報の拡散力は高いものの、投稿の寿命が短く、オーガニック検索のような長期的・安定的な流入源としては機能しにくい特性を持ちます。
検索順位とクリック率(CTR)には明確な相関があります。前述のFirst Page Sage 2025年調査データ(*1)によれば、オーガニック検索1位のCTRは約39.8%、2位は約18.7%、3位は約10.2%であり、上位3位で全クリックの約68.7%を獲得しています。
ただし、2025年現在、この数値はAI Overviewsの表示有無によって大きく変動していることもまた報告されています。Seer Interactiveの調査(*2)では、AI Overviewsが表示されるクエリではオーガニックCTRが61%低下(1.76%→0.61%)しており、検索結果画面の変化がCTRに影響を与え始めています。
(*2)出典:Seer Interactive「AIO Impact on Google CTR: September 2025 Update」
上位ほどクリックされるが、AI Overview表示で構造が変わる
First Page Sage 2025の調査によると、オーガニック検索の順位別CTR(クリック率)は、1位が39.8%、2位が18.7%、3位が10.2%であり、上位3位で全クリックの約68.7%を獲得します。 しかし、Seer Interactive 2025の調査によると、AI Overview(AIO)が表示されるクエリでは、従来のオーガニックCTRが1.76%から0.61%へと61%低下します。 その一方で、AI Overview内に引用されたブランドのCTRは35%上昇するというデータがあります。
オーガニックCTR
1.76% → 0.61%
一方、AI Overviewに引用されたブランドは
CTR +35% (引用される側は伸びる)
Googleは「ユーザーファースト」を基本理念とし、検索ユーザーにとって最も有益なコンテンツを上位に表示することを目指しています。その評価基準は数百項目に及ぶとされますが、特に重視されるのが以下の概念であると言われています。
E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)
Googleの「検索品質評価ガイドライン」で定義された評価軸です。Experience(経験)は2022年に追加された要素で、実体験に基づくコンテンツの価値を重視します。具体的には、執筆者の実務経験、一次情報の提供、独自の調査データなどが評価対象となります。Expertise(専門性)は当該分野に関する深い知識、Authoritativeness(権威性)は業界内での認知や被リンクの質、Trustworthiness(信頼性)はサイト運営者情報の明示やHTTPS対応などを含みます。
ヘルプフルコンテンツシステム
2022年に導入され、2024年3月のコアアップデートで統合された評価システムです。「人間のために書かれた、人間にとって役立つコンテンツ」を優先し、検索エンジン向けに最適化されただけの低品質コンテンツを降格させます。
検索順位が決定されるまでには、以下の3つの工程があります。この仕組みを理解することで、流入減少の原因が「クローラーの問題」なのか「評価の問題」なのかを切り分けられます。
1.クロール(Crawl):Googlebotと呼ばれるクローラーがWebサイトを巡回し、ページの情報を収集します。robots.txtでのブロックや、サーバーエラーが続くとクロール頻度が低下します。
2.インデックス(Index):収集された情報がGoogleのデータベースに登録されます。noindexタグの誤設定や、重複コンテンツの問題があるとインデックスされません。
3.ランキング(Ranking):アルゴリズムに基づいてインデックスされた情報を評価し、検索クエリごとに順位を決定します。
流入減少の原因は単一ではなく、複数の要因が複合的に作用していることが多くあります。以下、主要な7つの原因を解説します。
7つの原因は「自社/競合/市場」に整理できる。まず自社要因から確認する
オーガニック流入が減る7つの原因は、「自社要因(コントロール可能)」「競合要因(相対的な変化)」「市場・外部要因(コントロール外)」の3つの軸に分類されます。 自社要因には「コンテンツの鮮度低下」「技術的SEOの問題」「Googleペナルティ」が含まれます。 競合要因には「競合のSEO強化による相対的な順位低下」があります。 市場・外部要因には「コアアップデート」「検索ボリュームの減少」「AI Overviewsの影響」が含まれます。 原因究明の診断順序は自社→競合→市場の順に行い、AI Overviews(市場要因)に対しては引用されるための対策で攻めることが推奨されます。
コントロール可能
相対的な変化
コントロール外
診断の順序は「自社 → 競合 → 市場」
まず自社で直せる要因を潰し、AI Overviews(市場要因)へは“引用される”対策で攻める
Googleは年に数回、検索順位の決定ルールを根本から見直す「コアアルゴリズムアップデート」を実施します。2025年は3月(3/13〜3/27)と6月(6/30〜7/17)にコアアップデートが実施されました。毎日流入をみているWeb担当の皆さまは、この変化にはすぐに気づいたことかと思います。
特に2025年6月のアップデートでは、過去のヘルプフルコンテンツアップデートで順位を落としていたサイトの一部が回復する傾向が見られました。Amsiveの分析によれば、独立系パブリッシャーサイトで顕著な回復事例が報告されています(*3)。アップデート直後に順位が急落した場合、あわてずにまずアップデートの完了を待ち(通常2〜3週間)、その後に傾向を分析することが重要です。
(*3)出典:Amsive「June 2025 Core Update: Winners, Losers & Trends」
また、First Page Sageの2025年ランキング要因分析によれば、「Freshness(コンテンツの鮮度)」の重要度が6%まで上昇しており、少なくとも年1回の更新がない記事は平均4.6ポジション順位が低下する傾向があります。法改正、技術トレンドの変化、統計データの更新など、情報が古いまま放置されているコンテンツは、Googleからの評価低下を招きます。
コンテンツの質以前に、技術的な不備が原因で順位が下落するケースがあります。主な問題としては、誤ったnoindexタグの設置、Core Web Vitals(特にLCP・INP・CLS)の基準未達、モバイルフレンドリー非対応などが挙げられます。
なお、2024年3月にCore Web Vitalsの指標が変更され、従来のFID(First Input Delay)がINP(Interaction to Next Paint)に置き換えられました。INPは200ミリ秒以内が「良好」とされ、ページ全体のインタラクション応答性を測定します(*4)。
(*4)出典:Google「Understanding Core Web Vitals」
2024年5月に「SGE(Search Generative Experience)」から正式名称が変更された「AI Overviews」は、検索結果のトップにAIが生成した回答を表示する機能です。seoClarity の調査(*5)によれば、2025年9月時点で米国デスクトップ検索の30%にAI Overviewsが表示されています。
(*5)出典:seoClarity「Impact of Google's AI Overviews: SEO Research Study」
この影響は現時点ではいろいろなレポートがあり、何かひとつの結論を出すにはもう少し時間が必要ですが、Seer Interactiveの調査(*6)からは、AI Overviewsが表示されるクエリでオーガニックCTRが61%低下(1.76%→0.61%)、ペイドCTRも68%低下しているとされています。一方、AI Overviewsに引用されたブランドはオーガニックCTRが35%向上するという結果も出ており、「AIに引用される」ことの重要性が増しているように見受けられますが、2026年においてより変化の詳細を観察していくことが必要だと思われます。
(*6)出典:Seer Interactive「AIO Impact on Google CTR: September 2025 Update」
Googleサーチコンソールの「検索パフォーマンス」レポートを使い、以下のどのパターンに該当するかを確認します。
1.順位が下がった場合:アルゴリズム要因または競合要因が主因
2.表示回数が減った(順位は維持)場合:検索ボリュームの減少(市場要因)
3.CTRが下がった(順位・表示回数は維持)場合:AI Overviewsの影響、またはタイトル・メタディスクリプション、及びコンテンツ内容の魅力度低下
Googleサーチコンソールの「セキュリティと手動による対策」レポートを確認します。「問題は検出されませんでした」と表示されていれば、手動対策(ペナルティ)は適用されていません。警告が表示されている場合は、指摘された問題を解消した上で「再審査リクエスト」を送信する必要があります。
AI Overviewsに引用されることが新たな集客チャネルとなりつつあります。seoClarity の調査(*7)では、AI Overviewsに表示される情報源の97%が上位20位以内のオーガニック検索結果から引用されており、従来のSEO対策とAI対策は相互補完関係にあることを理解し、SEO対策の強化にいくつかの対策を加えることで対応します。
具体的には、FAQ構造化データの実装、質問に対する明確な回答を記事の前半に配置、「〇〇とは」形式のシンプルな説明文の追加などが有効です。
(*7)出典:seoClarity「Impact of Google's AI Overviews: SEO Research Study」
SEOの本質は、ユーザーの「検索意図(Search Intent)」を深く理解し、それを満たすコンテンツを提供することです。検索意図は大きく4種類に分類されます:情報探索型(Know)、案内型(Go)、取引型(Do)、比較検討型(Commercial Investigation)。ターゲットキーワードがどの意図に該当するかを分析し、それに応じた価値あるコンテンツを設計することで、長期的に上位表示を維持できます。
検索順位は日々変動します。数日単位の小さな動きに一喜一憂し、頻繁に修正を繰り返すと、かえって評価が定まらない原因になります。Google公式も「小さな順位変動で劇的な行動を取る必要はない」(*8)と述べており、傾向を見る際は最低でも2週間〜1ヶ月のスパンで判断することが推奨されます。
(*8) 出典:Google「Core Updates」
Googleは2019年から段階的に「モバイルファーストインデックス」へ移行し、現在はモバイル版のコンテンツをインデックスと順位決定の基準としています。これはデスクトップ版とモバイル版でコンテンツが異なる場合、モバイル版が評価対象となることを意味します。
モバイル対応で特に重要なのは、レスポンシブデザインの採用、タップターゲット(ボタンやリンク)の適切なサイズ確保(最低48×48ピクセル推奨)、モバイルでのCore Web Vitals最適化です。Search Engine Journalの2025年調査(*9)によれば、モバイルでのINPスコアはデスクトップより平均35.5%悪化する傾向があり、特にJavaScriptの最適化が重要です。
(*9)出典:Search Engine Journal「2025 Core Web Vitals Challenge」
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オーガニック検索の流入減少は、原因を正しく特定できれば回復できます。コアアップデート、競合、鮮度、技術的問題——本記事で見てきたように、多くは既存のSEO対策の延長線上で対処可能です。
しかし、2025年以降の流入減少には、もう一つの構造的な変化が重なっています。AI Overviewsの登場によって、検索の勝負どころが「検索結果で上位に表示される」ことから「AIの回答に引用される」ことへと広がりました。
重要なのは、この2つが対立しないことです。AI Overviewsに引用される情報源の97%は、上位20位以内のオーガニック検索結果から選ばれています(seoClarity)。つまり、従来のSEOで土台を固めることが、そのままAIに引用される条件にもなります。
これからのオーガニック検索対策は、「順位を回復させる」守りと、「AIに引用される基盤を整える」攻めの両輪で考える必要があります。後者の具体的な方法は、構造化データの実装が起点になります。
従来SEOでの回復(守り)と、AIに引用される基盤づくり(攻め)は両立する
これからのSEO対策は、「守り:回復」と「攻め:移行」の2つの両輪(相互補完関係)で回す必要があります。 守り(従来SEOの徹底)には、E-E-A-T強化、コンテンツの鮮度維持・リライト、技術的SEO、被リンク獲得が含まれます。 攻め(AIに引用される基盤構築)には、構造化データの実装、FAQや回答型コンテンツの作成、エンティティの確立、AI-Ready化が含まれます。 AI Overviewに引用される情報源の97%はオーガニック検索上位20位以内であるというデータ(seoClarity)からもわかるように、従来SEOで土台を固めることが、そのままAIに引用される条件になります。
最終更新日:2026年9月1日(公開日:2025年12月24日)
この記事の著者

甲斐 博一
ユニファイド・サービス株式会社 CMO
グローバルIT企業における23年間のマーケティング経験に経営企画のスキルも加えB2B/B2Cともに経営とマーケティングを結び付けていくことをモットーとする。また、数多くのデジタルマーケティングおよびECの立ち上げや衰退ビジネスの立て直しも経験し、Webサイトを事業に貢献させてきた経歴を持つ。現在はユニファイド・サービスにて、B2B領域のビジネスにフォーカスし、CMOとしてマーケティングを推進すると同時に、新規事業計画と成長を支援する活動を並行して実践中。経営とマーケティング、事業企画、そしてリーダーシップを次世代に伝えていくための活動もライフワークとして行っている。