自動化できる業務をAIに任せることで、限られた人的リソースを有効活用できます。特に効果が大きいのが、通話後の記録作成(ACW:After Call Work)の効率化です。DMM.comグループの事例では、Azure Speech to TextとAzure OpenAI Serviceを活用し、通話内容の自動テキスト化と生成AIによる要約を実現。ACWの平均時間を従来の約160秒から27%(約45秒)削減し、月間約100時間の工数削減を達成しました。さらに将来的には半分近くまで短縮できると期待されています。
(出典:Microsoft Customer Stories「DMM.com」)
単純作業や入力業務の負担が減ることで、オペレーターは本来の「顧客との対話」に集中できます。精神的な余裕が生まれ、やりがいを持って働ける環境が整うことで、従業員満足度(EX:Employee Experience)が向上し、離職防止にも効果を発揮します。アルティウスリンクの事例では、オペレーター向けチャットボットを導入することで、新人オペレーターの離職率を大きく改善したと報告されています。AIが「困ったときに助けてくれる相棒」として機能することで、業務上の精神的負担が軽減され、定着率の向上につながっています。
全通話の自動評価が可能になれば、SVは個別の指導に時間を割けるようになります。オペレーターにとっても、感情的な指摘ではなくデータに基づいた公平な評価を受けられるため、納得感のあるフィードバックが得られます。
DMM.comでは、VOC分析の効率化により月間約68時間(1割以上)の時間削減を達成し、その分を改善提案の立案に充てられるようになったと報告されています。(出典:Microsoft Customer Stories) AIによる分析は「監視」ではなく「成長支援」のためのツールであることを伝えることも重要です。
いきなりすべての業務にAIを導入するのはリスクが高いことは言うまでもありません。CXMコンサルティングの秋山紀郎氏は「まずはセンター内、社内利用、B2Bビジネスで導入し、顧客とのコミュニケーションは、社会環境や消費者のリテラシーなど、さまざまな条件がクリアされてから」とコメントしています(コールセンタージャパン2023年6月号)。現場の受容性を高めるためにも、段階的な導入をおすすめします。
コールセンターへのAI導入で具体的な成果を上げている事例として、前出でのDMM.comグループの取り組みを改めて紹介します。DMM.comでは、16の領域で60以上の事業を展開しており、これらを支えるコールセンターの業務効率化が課題でした。Azure Speech to TextとAzure OpenAI Serviceを活用し、電話による顧客対応の音声を自動的にテキスト化するとともに、その内容を生成AIで要約してVOC分析に活かすシステムを構築しました。
その結果、以下の成果を達成しています。
・ ACW(後処理時間)を平均45秒(約27%)削減し、月間約100時間の工数削減を実現
・ 将来的には半分近くまで短縮できる見込み(月間約200時間削減)
・ VOC分析の工数を月間約68時間削減し、改善提案の立案に時間を充てられるように改革
DMM.comの担当者は「今後も AI を積極的に活用し、人がやるべき仕事に人が集中できる環境の整備をさらに進めていく」と述べています。
出典:Microsoft Customer Stories「DMM.com」
自己解決率の高いWebサイトを構築し、そもそもの入電数を削減するアプローチです。
・ Webサイトの情報を構造化し、AIが正確に理解できる基盤を構築
・ AIサイト内検索・AIチャットで顧客の自己解決を促進
・その際、構造化データと非構造化データのハイブリッド運用が可能
・ 既存のWebサイトをリニューアルすることなく、段階的にAI対応を導入可能
コールセンター内部のAI活用(AI Powered CRM)と、入電前の自己解決促進(AI Ready Web)を組み合わせることで、より効果的、かつ現実的な負荷軽減と顧客体験の向上を実現します。
2025年12月24日
この記事の監修者

甲斐 博一
ユニファイド・サービス株式会社 CMO
グローバルIT企業における23年間のマーケティング経験に経営企画のスキルも加えB2B/B2Cともに経営とマーケティングを結び付けていくことをモットーとする。また、数多くのデジタルマーケティングおよびECの立ち上げや衰退ビジネスの立て直しも経験し、Webサイトを事業に貢献させてきた経歴を持つ。現在はユニファイド・サービスにて、B2B領域のビジネスにフォーカスし、CMOとしてマーケティングを推進すると同時に、新規事業計画と成長を支援する活動を並行して実践中。経営とマーケティング、事業企画、そしてリーダーシップを次世代に伝えていくための活動もライフワークとして行っている。