Googleで何かを検索すると、検索結果の最上部にAIが生成した要約が表示される。この光景は、もはや日常になりました。AI Overviews(AIによる概要)です。要約だけで用が済めばページは開かれず、さらに深く知りたければ、そのまま対話型のAIモードへ。検索からAIチャットへ自然に移行する、新しい体験がここに設計されています。
Webサイトを運営する企業にとって、これは無視できない変化です。自社のページは引用されるのか、流入はどうなるのか、何を対策すればよいのか。そして実は、この新しい検索体験そのものから、企業サイトが学べることもあります。本記事では、AI Overviewsの定義と仕組み、AIモードとの違い、サイトへの影響の見立て方、引用されるための対策、表示状況の計測方法までを一気通貫で解説します。なお、生成AI時代の最適化の全体像はLLMOの記事で体系化しています。本記事はその中の「表示面」、つまりGoogle検索の生成AI機能に特化した各論を展開していきます。
AI Overviewsとは、Google検索の結果ページ上部に表示される、AIが複数の情報源を要約して生成する回答機能です。日本語では「AIによる概要」と表示されます。要約文とともに、参照した情報源(引用元ページ)へのリンクが表示されるのが特徴で、ユーザーは要約で概要を掴み、必要に応じてクリックして引用元へと進みます。
経緯を簡単に振り返ります。Googleは2023年から、生成AIを組み込んだ検索体験をSGE(Search Generative Experience)として試験提供してきました。これが発展・正式化したものがAI Overviewsであり、日本では2024年8月から正式提供が始まっています。「SGE対策」として語られてきた内容は、現在のAI Overviews対策の延長と考えて差し支えありません。以降、表示されるクエリの範囲は段階的に広がっており、国内の調査では、調査対象キーワードの2割強でAI Overviewsが表示されたという報告もあります(2025年時点)。もはや一部の検索に限られた例外的な表示ではなく、検索結果の標準的な構成要素になりつつあると言えます。(出典:SEO研究チャンネルの調査記事 note.com/seolabochannel/n/nc459c1540277)
AI Overviewsと並んで押さえておくべきなのが、AIモード(AI Mode)です。AIモードは、検索結果ページのタブから切り替えて使う対話型のAI検索で、一度の検索で終わらず、質問を重ねながら深掘りしていけます。従来の「検索する」という行為が、AIに「相談する」体験に近づいたもの、と考えると分かりやすいでしょう。日本語では2025年9月に提供が始まり、2026年3月には音声やカメラを使ってリアルタイムに対話する「検索Live」も日本で利用できるようになりました。AI Overviewsの要約で物足りなければ、ユーザーはそのままAIモードの対話へ進めます。Google検索は、要約(AI Overviews)から対話(AIモード)へと、体験の階段を整備し続けているのです。
観点 | AI Overviews | AIモード |
|---|---|---|
表示のされ方 | 対象クエリで自動的に表示 | ユーザーがタブで能動的に選択 |
体験 | 要約+引用元リンク(読む) | 対話しながら深掘り(尋ねる) |
位置づけ | 従来の検索結果の一部 | 検索体験そのものの置き換え |
企業側の対策 | 引用元に選ばれること | 同上、ただし引用されるURLの傾向が異なる |
実務上、最も重要なのは表の最終行です。AI OverviewsとAIモードでは、同じテーマの検索でも引用されるURLが大きく異なるという調査が報告されています。要約と対話では、AIが参照する情報の深さや種類が変わるためと考えられます。つまり「AI Overviewsに引用されているからAIモードでも安心」とは言えず、逆もまた然りです。後述する計測では、両者を別々に観測することをお勧めします。なお、この2つに加えてChromeブラウザへのGemini統合など、Googleの検索体験は生成AIを軸に再編が進んでいます。個々の機能名は変わっても、「AIが情報源を選び、要約し、対話で深掘りさせる」という方向性は一貫しています。
AI Overviewsの生成プロセスを、平易に5段階で整理します。
①意図の理解:入力された検索文章から、ユーザーが何を知りたいのかをAIが読み取る。
②検索クエリの自動生成:意図に答えるために収集すべき情報を想定し、複数の検索クエリを自動的に組み立てる(一つの質問を複数の検索に展開するこの手法は、AIモードでは「クエリファンアウト」としてGoogleが公式に説明しています)。
③検索・収集:生成したクエリで通常の検索システムを使い、候補ページを集めて内容を参照する。
④評価・選定:検索での評価や情報の明確さをもとに、回答の根拠とするページを選ぶ。
⑤生成・表示:選んだ情報源をもとに要約を生成し、引用元リンクとともに表示する。
③の工程は「検索グラウンディング」と呼ばれます。グラウンディング(grounding=接地)とは、AIが学習済みの知識だけで答えを作るのではなく、実際の検索結果という事実に回答を接地させる仕組みのことです。学習知識だけに頼ると、もっともらしい誤り(ハルシネーション)が混ざるおそれがあるため、リアルタイムのWeb情報を根拠にして生成することで、回答の正確性と鮮度を担保しています。あなたのページが「根拠」として読まれるのは、この工程です。
入力された検索文章から
ユーザーが知りたいことを
AIが読み取る
収集すべき情報を想定し
複数の検索クエリを
自動的に組み立てる
生成したクエリで検索し
候補ページの内容を参照
(検索グラウンディング)
検索グラウンディングとは
AIの回答を、実際の検索結果
という事実に「接地」させる仕組み
(誤りを防ぎ、鮮度を担保)
検索での評価や
情報の明確さをもとに
根拠とするページを選ぶ
選ばれやすいページの条件
・検索で上位評価されている
・質問に直接答えている
・情報源が明確である
選んだ情報源をもとに
要約を生成し
引用元リンクと共に表示
入力された検索文章からユーザーが知りたいことをAIが読み取る
収集すべき情報を想定し複数の検索クエリを自動的に組み立てる
生成したクエリで検索し候補ページの内容を参照(検索グラウンディング)
検索グラウンディングとは
AIの回答を、実際の検索結果という事実に「接地」させる仕組み(誤りを防ぎ、鮮度を担保)
選ばれやすいページの条件
検索での評価や情報の明確さをもとに根拠とするページを選ぶ
選んだ情報源をもとに要約を生成し引用元リンクと共に表示
ここで気づくはずです。②の段階で使われているのは、通常のGoogle検索です。つまりAI Overviewsは、生成AIがWebを参照して回答を作る仕組み(LLMO記事で解説した「回答時に検索・参照される経路」)の、Google検索における実装です。この事実は、対策を考えるうえで決定的に重要です。検索で見つからないページは、AIの候補にすら入りません。逆に、検索で高く評価されているページは、引用候補として選ばれやすい。引用されやすいページの一般傾向としてよく挙げられる「検索で上位評価されている」「質問に直接答えている」「情報源が明確」という条件は、いずれもこの仕組みから導かれる自然な帰結です。魔法のようなAI対策があるのではなく、検索エンジンとAIの両方に理解される情報を作る、という一つの仕事があるだけなのです。
影響①:クリックされない検索が増える。
AI Overviewsが答えを完結させるため、特にKnowクエリでは、検索結果のリンクがクリックされないまま検索が終わる「ゼロクリック」が進行しています。「〜とは」型の記事で流入を集めてきたサイトほど、表示回数は維持されているのにクリック率が下がる、という形でこの影響を実感しているはずです。この現象の背景と、それでもWebサイトが果たすべき役割については、コラム「ゼロクリック時代のWeb集客」で詳しく論じています。
影響②:自社への影響は「Know比率」で見立てる.。
では、自社はどの程度影響を受けるのか。判断軸はシンプルです。Search Consoleで自社の流入クエリを眺め、そのうちKnow型(情報探索型)がどれだけを占めるかを確かめてください。「〜とは」「方法」「違い」で流入しているサイトほどAI Overviewsの影響は大きく、引用される側に回る対策の優先度が高い。一方、指名検索(Goクエリ)中心のサイトへの影響は限定的です。
影響③:訪問者の質は上がる。
悪い話ばかりではありません。AIの要約で前提知識を得たうえで、なお引用元リンクを踏んで訪れるユーザーは、目的が明確で意欲が高い傾向があります。要約で済む人は最初から見込み客ではなかった、という見方もできます。流入の「量」は減っても、引用元に選ばれてさえいれば「質」の高い接点が残る。また、AI Overviewsへの引用は、たとえクリックされなくてもブランド名がAIの答えの中で露出するという意味を持ちます。第一想起の獲得という広告的な価値です。さらに米国ではAI Overviews内・周辺への広告表示も始まっており、この面の設計は今後も変化が続きます(2026年8月時点)。悲観でも楽観でもなく、引用される側に回ること。それが実務面からの結論です。
対策の話に入る前に、最も重要な公式見解を正確に押さえておきます。Googleは、生成AI機能に表示されるために「AI向けの特別なファイルや新しいマークアップ」を新たに用意する必要はなく、通常の検索最適化がそのまま有効だと説明しています。誤解のないように補足すると、これは構造化データとそのマークアップの否定ではありません。Schema.orgの構造化データは、Googleが従来から推奨してきた「通常の検索最適化」の一部です。このGoogleの見解の趣旨は、「AI専用の奇策は存在しない。土台がそのまま効く」ということです。
この見解を、LLMO記事の懸案としても整理しましたが、あらためて強調します。「マークアップ不要」という言葉だけを切り取って「構造化データはもう要らない」と解釈するのは誤りです。否定されているのはllms.txtのようなAI専用の新設ファイルであって、構造化データは引き続き、Googleがコンテンツを正確に理解するための推奨手段です。したがって対策は、次の2階建てで説明ができます。
【1階:土台】
情報を人にもAIにも理解できる形に整える「情報の構造化」、その技術的実装であるSchema.orgの構造化データ、そして発信元の信頼性(E-E-A-T)。当サイトが2024年から一貫して論じてきた土台です(考え方は「情報の構造化とは」、実装は「構造化データとは」で詳細を解説しています)。Googlebotへのアクセスが妨げられていないかというクロール要件の確認もここに含まれます(AIクローラー全般の制御は「AIクローラーとは」で扱います)。土台は、AI Overviewsのためだけの投資ではありません。あらゆる生成AI、そして従来の検索の両方に効く共通基盤です。
【2階:表示面の実務】
そのうえで、AI Overviewsに引用されやすくする編集の実務は次の7つです。
①質問に正面から答える構成にする(見出しを疑問形にし、その直後に答えを書く。AIは見出しと直後の文から答えを取り出します) ②冒頭に明確な定義文・結論を置く(「〜とは…です」と一文で切り出せる自己完結の形。本記事のH2-1がその実例です) ③1つの見出しで1つの論点に絞る(複数の論点が混ざった長い節は、AIにとって引用しにくい) ④FAQを設置する(質問と答えの対は、そのまま要約の素材になります) ⑤根拠と発信元を明示する(データの出典、執筆者・監修者の情報) ⑥更新日を明示し、情報を最新に保つ(鮮度は選定の重要な材料です) ⑦関連する論点を網羅し、テーマ全体への専門性を示す。
お気づきのとおり、この7つに「AI Overviews専用」の項目は一つもありません。すべて、読者にとって分かりやすい記事の条件そのものです。AIは大量の候補ページから「質問への答えを、正確に、素早く取り出せるページ」を選びます。人にとって親切な構成は、AIにとっても取り出しやすい構成なのです。専用のテクニックを期待された方には拍子抜けかもしれませんが、それがこの領域の実態であり、だからこそ、土台と編集の質という王道に投資してきたサイトが報われる構造になっています。生成AI最適化の全体像と施策の優先順位は、LLMOの記事の6層構造図をご参照ください。
対策をしたら、効果を確かめる番です。自社がAI Overviewsに引用されているかどうかは、長らく「実際に検索して目視で確かめる」しかなく、それがこの領域のPDCAを難しくしてきました。この状況は変わりつつあります。Search Consoleに生成AIパフォーマンスレポートが追加され(2026年6月発表)、AI OverviewsやAIモードといったGoogle検索の生成AI機能で、自社URLがどれだけ表示されたかを確認できるようになりました。どのページが生成AI機能に登場しているのか、その表示は増えているのか。まずはこのレポートで現在地を把握し、対策の前後で推移を追うことが、PDCAの起点になります。あわせて、AI経由の流入全般はGA4の「AI Assistant」チャネルで把握できます(計測方法の全体像はLLMO記事で解説しています)。
補完手段として、代表的なクエリ10〜30個の定点観測もお勧めします。自社に関連する検索(「〇〇とは」「〇〇 比較」など)を月次で実際に行い、AI Overviewsの表示有無、引用元の顔ぶれ、自社の登場、競合の登場を記録する方法です。SCレポートが「表示された事実」を教えてくれるのに対し、定点観測は「誰と並んで、どう引用されているか」という文脈を教えてくれます。前述のとおりAI OverviewsとAIモードでは引用されるURLが異なるため、両者は必ず別々に観測してください。なお、AIの要約で完結した検索(ゼロクリック分)はどの計測にも現れません。数字に表れない影響があることを前提に、指名検索の推移や商談でのヒアリングも併せて見ることをお勧めします。
本記事の要点を整理します。AI Overviewsは、Google検索に組み込まれた新しい表示面であり、日本でも2024年8月から標準的な検索体験の一部になっています。引用元はAIが通常の検索を土台に選ぶため、対策の実体は「通常の最適化+情報の構造化という土台」であり、専用の奇策は存在しません。影響の大きさは自社の流入クエリのKnow比率で見立て、Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートで現在地を測り、AI OverviewsとAIモードは別々に観測する。そしてもう一つ、要約から対話へ誘うこの体験設計そのものを、自社サイトのサイト内検索・AIチャット設計のお手本として参考にする。対策と学習、この両面で向き合うことが、検索の再編期との正しい付き合い方だと私たちは考えています。生成AI時代の最適化の全体像と優先順位は、LLMOの記事でご覧ください。
2026年9月14日
この記事の著者

甲斐 博一
ユニファイド・サービス株式会社 CMO
グローバルIT企業における23年間のマーケティング経験に経営企画のスキルも加えB2B/B2Cともに経営とマーケティングを結び付けていくことをモットーとする。また、数多くのデジタルマーケティングおよびECの立ち上げや衰退ビジネスの立て直しも経験し、Webサイトを事業に貢献させてきた経歴を持つ。現在はユニファイド・サービスにて、B2B領域のビジネスにフォーカスし、CMOとしてマーケティングを推進すると同時に、新規事業計画と成長を支援する活動を並行して実践中。経営とマーケティング、事業企画、そしてリーダーシップを次世代に伝えていくための活動もライフワークとして行っている。