「構造化データを実装すれば検索順位が上がる」もしそう期待してこの記事にたどり着いたなら、最初にお伝えしなければならないことがあります。それは事実ではありません。
ただし、構造化データが不要という意味でもありません。当社が国内企業600社を対象に実施した調査では、構造化を実施している企業の9割以上が、SEO・サイト内検索・UXのそれぞれで効果を実感しています。ところが実施企業は全体の23%にとどまり、明確な成果を上げている層はわずか全体の2.5%です(→ 先行成功企業2.5%の調査結果)。
実施した企業の9割以上が効果を実感しているのに、その中で明確な成果を上げているのはわずか11%(全体では2.5%)にすぎません。そして、順位が直接上がらないのに、なぜ効果が出るのか。この2つの矛盾に、本記事は答えていきます。
基礎知識からJSON-LDの実装・検証方法、そしてAI検索時代における構造化データの新しい役割まで、当社の調査データを交えながら、マーケティングの現場視点で解説します。(著者:甲斐博一)
結論から言うと、「構造化データ」という言葉にはまったく異なる2つの意味があります。データ分析の文脈で使われる意味と、SEO/Webの文脈で使われる意味です。ここを混同すると話が噛み合わなくなるため、最初に整理します。
同じ言葉が、分野によって別のものを指す
= 行と列で整理されたデータ
対になる概念:
非構造化データ(画像・動画・文書)
半構造化データ(XML / JSON / HTML)
= 検索エンジンや AI に「意味」を伝える記述
「これは商品名」「これは価格」と
機械が読める形で明示する
= AI のための説明書
データマネジメントや分析の文脈では、データの形式によって以下の3つに分類されます。
構造化データ(Structured Data):ExcelやCSV、RDB(リレーショナルデータベース)のように、行と列の概念があり、規則的に整理されたデータです。コンピュータでの処理や集計が容易にできるデータを意味します。
非構造化データ(Unstructured Data):メールの本文、Wordドキュメント、画像、動画、音声データなど、決まった構造を持たないデータです。そのままでは集計や分析が困難です。
半構造化データ(Semi-structured Data):XMLやJSON、HTMLのように、ある程度の構造(タグやキー)は持っているものの、RDBのような厳密な表形式ではないデータです。
データ形式 | 特徴 | 具体例 | 処理のしやすさ |
|---|---|---|---|
構造化データ | 行と列で規則的に整理 | Excel, CSV, SQL | ◎ 非常に容易 |
半構造化データ | タグやキーで構造定義 | XML, JSON, HTML | ○ 容易 |
非構造化データ | 形式が定まっていない | テキスト, 画像, 動画 | △ 困難 |
一方、SEOやWeb制作の現場で使われる「構造化データ」とは、Webページの内容を検索エンジンやAIが理解できる形式で記述したコード(メタデータ)のことを指します。
通常、人間が見るWebページはHTMLで書かれていますが、検索エンジン等のプログラムにとって、HTML上のテキストが「単なる文字の羅列」なのか「特定の商品名や価格」なのかを判別するのは容易ではありません。
そこで、「ここは商品名です」「これは価格です」「これは在庫状況です」といった意味情報を、機械が読める形式(Schema.orgなどの規格)で記述したものが、本記事で解説する構造化データです。いわば、「検索エンジンやAIのための説明書」とも言えます。
なお、SEO/Web分野の構造化データも、正確にはデータ分類上「半構造化データ」に該当します。JSON-LDやXMLといった形式で記述されるためです。しかし、SEO文脈では「構造化データ」という呼称が定着しているため、本記事でもこの呼び方を使用します。
実務においては、「情報を構造化すること」と「構造化データをマークアップすること」を区別して考える必要があります。
情報の構造化:Webサイト内の情報を論理的に整理し、親子関係や関連性を明確にすることです。例えば、見出しタグ(h1, h2...)を適切に使ったり、パンくずリストを整備したり、情報同士の関係性(この製品はこのカテゴリに属する、この人物はこの組織に所属する等)を定義する作業が該当します。
構造化データマークアップ:整理された情報を、検索エンジンが理解できる特定のコード(JSON-LDなど)で記述し、HTMLに埋め込む作業です。
情報自体が整理されていなければ、正しいマークアップもできません。両者は密接に関連していますが、本質的には異なるステップです。AI時代においては、マークアップだけでなく、その前段階である「情報の構造化」が重要になります。詳しくは 情報の構造化とはで解説しています。
端的に言えば、HTMLは「見た目」を伝える言語であって、「意味」を伝える言語ではないからです。この構造的な限界を埋めるのが構造化データの役割です。
私たち人間は、Webページを見て「これはラーメン屋の紹介記事だ」「店名は『中華そば〇〇』で、評価は星4つだ」と瞬時に理解できます。しかし、検索エンジンのクローラー(ロボット)は、HTMLを解析してテキストを読み取れても、その「意味」や「文脈」までは正確に理解できないこともあります。
例えば、「山田太郎」というテキストがあったとき、それが「人の名前」なのか、「小説の登場人物」なのか、あるいは「同名の店舗名」なのか、HTMLの記述だけでは断定できません。同様に「Apple」という単語も、文脈によって「果物のリンゴ」なのか「テクノロジー企業のApple」なのかが変わります。
この曖昧さを解消し、誤解なく情報を伝えるために構造化データが必要となるのです。
近年の検索エンジンは、キーワードマッチングだけでなく、「エンティティ(Entity)」という概念で情報を理解しようとしています。エンティティとは、人、場所、モノ、組織、イベント、概念など、一意に識別可能な情報の塊(実体)のことです。
Googleなどの検索エンジンは、世界中の情報を「ナレッジグラフ」と呼ばれる巨大なデータベースで管理しており、そこでは情報が単なるキーワードではなく、関係性を持ったエンティティとして保存されています。構造化データを実装することは、自社のWebサイト上の情報を、Googleのナレッジグラフ上のエンティティと正しく紐付ける(または新しいエンティティとして登録してもらう)ための確実な手段となります。
実務的には、自社の商品名やブランド名をエンティティとしてGoogleに認識させることで、同名の他社商品や一般名詞と区別され、ブランド検索での視認性が向上します。例えば「Apple」で検索した際に果物ではなくテクノロジー企業が表示されるのは、Appleがエンティティとして確立されているためです。
結論から述べます。構造化データは、検索順位を直接的に上昇させる要因ではありません。Google自身が公式にそう説明しています。この点を曖昧にしたまま導入を進めると、期待値がずれ、成果が出ていないと誤解する原因になります。
Googleの検索担当者は、構造化データはランキングシグナルではないという趣旨の説明を繰り返してきました。つまり「構造化データを実装したから10位が3位になる」といった因果関係は存在しません。「構造化データはSEOには意味がない」という言説が生まれるのは、この事実が背景にあります。
問題は、この誤解が驚くほど広く共有されていることです。当社の調査で、まだ構造化に着手していない企業に「構造化データを導入することで、どのような効果が期待できると思いますか」と尋ねたところ、1位は「外部検索結果での表示順位の向上」で23%。2位のクリック率向上(11%)以下を大きく引き離す結果でした。つまり多くの企業が、最も起こらないことを最大の期待にして始めようとしているわけです。
この期待のズレは、そのまま失敗につながります。順位が上がると信じて導入し、上がらないので「効果がなかった」と判断して撤退する——構造化データが正しく評価されない最大の原因は、技術の問題ではなく期待値設定の問題です。だからこそ、最初に誤解を解いておく必要があります。
では、構造化データには本当に意味がないのかというと、まったく逆です。順位を押し上げる効果はないが、間接的な効果は明確に存在する——これが正確な理解です。間接効果は大きく2つあります。
1つ目は、リッチリザルトによるクリック率(CTR)の向上です。順位そのものは変わらなくても、検索結果に星評価やFAQ、価格が表示されれば、ユーザーの目に留まる確率は上がります。同じ順位でも流入が増えるのは、この効果によるものです。
2つ目は、そして現在ではこちらのほうが重要ですが、AIに引用されるための条件になっていることです。AI Overviewや生成AIは、回答を組み立てる際に「構造化された、意味の明確な情報」を優先的に参照する傾向があります。順位を競う以前に、AIの回答内で自社が言及されるかどうか、この視点で強く構造化データが効いてきます。
整理すると、こうなります。かつての構造化データは「リッチリザルトや強調リザルトを出すためのオプション施策」でした。しかしAI検索の時代において、その位置づけは「AIに選ばれる情報源になるための必須条件」へと変わりました。直接的な順位効果がないという事実は今も変わりません。変わったのは、順位以外の勝負どころが生まれたことです。本記事の後半(AI時代における構造化データの新たな役割)で、この論点に戻ります。
最も基礎的な効果は、順位が上がることではなく、誤解されなくなることです。前述の「山田太郎」や「Apple」の例のように、HTMLだけでは曖昧な情報も、構造化データがあれば「これは人物だ」「これは組織だ」と明示できます。
クローラーがコンテンツを正確に解釈できれば、インデックスの精度が上がり、意図した検索クエリと結びつきやすくなります。これは順位を押し上げる力ではなく、本来評価されるべき内容が正しく評価されるための土台づくりです。地味ですが、すべての施策の前提になります。
構造化データが正しく実装されていると、検索結果に通常のテキストだけでなく、画像、レビューの星、FAQ、価格などが追加表示されることがあります。これを「リッチリザルト(リッチスニペット)」と呼びます。
視覚的に目立つリッチリザルトは、ユーザーの目を引きやすく、クリック率(CTR)の向上が期待できます。検索順位が同じでも、リッチリザルトが表示されているだけで流入数が増加するケースは珍しくありません。商品情報やFAQ、求人、そしてレシピなどはこの恩恵を大きく受けます。前章で述べた「間接効果」の1つ目が、まさにこれです。
種類 | 表示内容 | 期待される効果 |
|---|---|---|
商品(Product) | 価格、在庫、レビュー星、配送料 | 購入意欲の高いユーザーの流入増 |
FAQ | 質問と回答のアコーディオン表示 | 画面専有面積の拡大と信頼性向上 |
求人(JobPosting) | 給与、勤務地、ロゴ、投稿日 | Googleしごと検索での視認性最大化 |
ここが現在のWeb戦略において最も重要なポイントです。Googleの「AI Overview」やBingのAI検索、Gemini、ChatGPT、Claudeなど、検索結果に生成AIによる回答が表示される機能が普及し始めています。これらのAIは、情報をテキストとして読むだけでなく、「構造化された信頼できるデータ」を優先的に参照し、回答の根拠として引用する傾向があります。
構造化データによって、自社の商品やサービスを明確な「エンティティ」としてAIに認識させることは、AIによる回答生成時に自社情報が採用される確率を高める(GEO:生成エンジン最適化)ことにつながります。Microsoftも公式に、構造化データがAIの回答生成における主要な情報源の一つであることを認めています。
構造化データは以前から存在する技術ですが、2024年以降、その重要性が急速に見直されています。背景には、もちろん生成AIの社会への普及があります。従来、構造化データは「検索結果にリッチリザルトを出すための施策」として認識されてきたのもまた事実です。しかし現在は、「AIに選ばれる情報源になるための必須条件」へと位置づけが変化しています。
では、実際に取り組んだ企業では何が起きているのか。当社が国内企業600社を対象に実施した調査では、構造化を実施している企業のうち、SEOへの貢献を実感した企業が92%、サイト内検索が92%、UXが93%。3つの指標すべてで9割を超えました(※「わからない」と回答した方を除く)。
ここで挙げた3つは、いずれもAI検索が普及する以前からある指標です。しかし裏を返せば、AIに選ばれる基盤を整えることは、同時に既存のSEO・サイト内検索・UXも改善するということでもあります。AI対応は遠い将来への賭けではなく、今の成果にもつながる。それが、いま構造化データに取り組む合理性です。
ところが、実際に構造化を実施している企業は全体の23%にとどまり、そのうち明確な成果を上げている「構造化成功グループ」は11%。掛け合わせると、成功しているのは全体のわずか2.5%です。効果が出ると分かっているのに、ほとんどの企業ができていない。つまり、今から構造化データに取り組むことは、97.5%の競合他社に対する明確な差別化要因となり得ます(→ 先行成功企業2.5%の調査結果)。当社では、この取り組みを「AI Ready Web」の構築として体系化し、支援しています。
実装に入る前に、用語を押さえます。構造化データは「ボキャブラリー(何を記述するか)」と「シンタックス(どう記述するか)」の2つの要素で成り立っています。
ボキャブラリーとは、「何を記述するか」を定義した単語帳のような規格です。現在、世界標準として使われているのが「Schema.org」です。
Google、Microsoft、Yahoo!といった主要検索エンジンが共同で策定した、このSchema.orgでは、記述したい情報の種類を「タイプ(@type)」、その詳細な属性を「プロパティ」と呼びます。
タイプ例:Person(人)、Organization(組織)、Product(製品)
プロパティ例(Personの場合):name(名前)、jobTitle(肩書き)、worksFor(所属組織)
シンタックスとは、「どのように記述するか」という文法のことです。主に以下の3種類があります。
JSON-LD(ジェイソン・エルディー):JavaScriptのオブジェクト記法で記述する方法。HTMLのheadタグ内などにまとめて記述できるため、管理が容易
Microdata:HTMLタグの中に直接属性を書き込む方法。HTML構造と密結合するため、修正が煩雑になりがち
RDFa:Microdataと同様にHTMLタグ内に記述する規格。現在はあまり一般的ではない
Googleは、実装や管理の容易さからJSON-LD形式を強く推奨しています。本記事でもJSON-LDでの記述を前提に解説します。
WordPressなどのCMSを使っている場合、JSON-LDはプラグインが自動生成してくれることも多くありますが、「何が出力されているか」を理解しておくことで、より精緻な設定やカスタマイズが可能になります。
シンタックス | 特徴 | Google推奨 | 実装場所 |
|---|---|---|---|
JSON-LD | JSオブジェクトとして記述 | ◎ 推奨 | scriptタグ内 |
Microdata | HTMLタグに属性を追加 | △ | HTMLタグ内 |
RDFa | XHTMLベースの拡張属性 | △ | HTMLタグ内 |
JSON-LDは以下のような基本構造を持ちます。
<script type="application/ld+json"> { "@context": "https://schema.org", "@type": "Article", "headline": "構造化データとは?", "datePublished": "2025-12-24" } </script> |
@context:"https://schema.org" を指定し、Schema.orgのボキャブラリーを使用することを宣言します。
@type:情報の種類(ここでは記事を示すArticle)を指定します。
それ以降の行:そのタイプに対応したプロパティ(記事見出し、公開日など)を記述します。
記述のポイントとして、すべてのプロパティ名と文字列の値は必ず二重引用符("")で囲む必要があります。また、最後のプロパティの後にはカンマを置かないというJSON特有のルールに注意しましょう。これらを守ることで、クローラーに正しく解析されるようになります。
・ カンマの過不足:各プロパティの末尾にはカンマが必要ですが、最後の項目の末尾にカンマを付けるとエラーになります。
・ 引用符の使い分け:必ず半角の二重引用符(")を使用し、全角や単一引用符(')は使用しないでください。
・ ネスト構造の整合性:中括弧 { } や角括弧 [ ] の対が正しく閉じられているか確認してください。
・ 制御文字の混入:コピー&ペーストの際に目に見えない改行コードやタブが混入し、パースエラーを起こすことがあります。
Schema.orgには膨大なタイプが定義されていますが、業種やビジネスモデルを問わず、まず押さえるべきものは限られます。当社調査では、構造化を実施している企業が扱うデータは1社あたり平均4分野。B2B・B2Cのどちらでも、最も多く実装されているのはOrganization(組織情報)でした。ここでは使用頻度の高い順に、最小のコード例とあわせて解説します。
自社というエンティティの土台になる、最も重要なタイプです。社名・URL・ロゴを宣言し、Googleに「この組織が存在する」と認識させます。
特に効くのが sameAs プロパティです。LinkedInやX(旧Twitter)、企業データベースなど、外部の権威あるプロフィールを列挙することで、自社のエンティティを外部のナレッジグラフに接続できます。自社サイト内で完結した宣言よりも、外部で裏が取れる情報のほうが強い、これはE-E-A-Tの考え方と同じです。
{ "@type": "Organization", "name": "ユニファイド・サービス株式会社", "url": "https://unisrv.jp/", "logo": "https://unisrv.jp/assets/img/logo.png", "sameAs": [ "https://www.linkedin.com/company/...", "https://x.com/..." ] } |
記事ページに実装します。headline(見出し)、datePublished(公開日)、dateModified(更新日)、author(著者)、image(画像)が基本セットです。
重要なのは author です。「誰が書いたか」を機械可読で宣言することは、E-E-A-Tのうち最もAIが苦手とする「経験」と「権威性」を伝える手段になります。
なお、本人が執筆した場合は author、他者が書いたものを専門家が監修した場合は reviewedBy(WebPage型)を使います。実態と異なる宣言はしないでください。
{ "@type": "Article", "headline": "構造化データとは?", "datePublished": "2025-12-24", "dateModified": "2026-05-13", "author": { "@id": "https://unisrv.jp/#person-kai" }, "publisher": { "@id": "https://unisrv.jp/#organization" } } |
よくある質問を宣言します。PAA(他の人はこちらも質問)やAI Overviewでの露出につながるため、費用対効果の高いタイプです。
絶対条件が1つあります。構造化データに書いた質問と回答が、ページ上に実際に表示されている内容と完全に一致していること。ページに無い情報をFAQPageだけで宣言するのはスパム行為とみなされます。なお本記事のFAQも、この形式で実装しています(後述)。
{ "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "構造化データはSEOの順位に直接効果がありますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "直接的な順位上昇要因ではありません。..." } }] } |
サイトの階層構造を伝えます。検索結果にパンくずが表示されるほか、AIが「このページはサイトのどこに位置するのか」を理解する手がかりになります。位置(position)は1から順に振ります。
地味なタイプですが、当社の調査では興味深い差が出ました。構造化に成功しているグループではパンくずリストの実装率が最も高い一方、成功していないグループでは下位に沈んでいます。組織情報やFAQといった「目立つ」タイプに手が伸びがちですが、サイト全体の構造をAIに伝えるこの土台こそ、成否を分けている可能性があります。
{ "@type": "BreadcrumbList", "itemListElement": [ { "@type": "ListItem", "position": 1, "name": "トップページ", "item": "https://unisrv.jp/" }, { "@type": "ListItem", "position": 2, "name": "記事コンテンツ", "item": "https://unisrv.jp/knowledge/article/" }, { "@type": "ListItem", "position": 3, "name": "構造化データとは?" } ] } |
形のある商品ではなく、サービスやソフトウェアを提供している場合に使うタイプです。B2B・B2Cを問わず、「何を提供している会社なのか」をAIに正確に伝える手段になります。
Service:コンサルティング、SaaSサービス、業務支援サービスなど
SoftwareApplication:自社開発のソフトウェアやクラウドサービス
WebApplication:Webベースの業務アプリケーション
これらを実装することで、「〇〇を提供している会社」というエンティティとしての認識が強化され、AI検索で「〇〇サービスを提供している会社は?」という質問への回答候補になりやすくなります。
なお当社調査では、実装されている構造化データの種類にB2B・B2Cで傾向差が見られました。B2BではProduct(製品情報)やLocalBusiness(地域ビジネス)、JobPosting(求人情報)が上位に入る一方、B2CではFAQやEvent(イベント情報)の実装率が高くなっています。自社のビジネスで顧客が最も知りたい情報から着手する傾向が高いことが伺えます。
Product:ECサイト向け。商品名、価格、在庫状況、レビュー評価などを表示
LocalBusiness:実店舗向け。営業時間、住所、地図情報などを表示
Event:セミナーやイベント向け。開催日時、場所、チケット情報を表示
JobPosting:求人情報向け。給与、勤務地、雇用形態を表示し、Googleしごと検索に対応
HowTo:手順解説記事向け。ステップごとの画像やテキストを表示
Step 1:ページに適した「タイプ」を選ぶ
実装したいページの内容に最も合致するSchema.orgのタイプを選定します。会社概要ならOrganization、コラムならArticle、商品ページならProductです。
Step 2:コードを生成する(ツール活用 or 手動)
JSON-LDのコードを作成します。一から手書きするのはミスのもとになるため、後述する生成ツールの活用をおすすめします。
Step 3:HTMLに実装する
生成したコードをHTMLファイルの<head>タグ内、または<body>タグの終了直前などに貼り付けます。WordPressなどのCMSを使用している場合は、プラグインで自動挿入することも可能です。
Google 構造化データ マークアップ支援ツール:Google公式のツールです。WebページのURLを入力し、マウス操作で要素を選択するだけでHTMLコードを生成できます。
Schema Markup Generator (Merkle):技術系SEO会社Merkleが提供する無料ツール。フォームに必要な情報を入力するだけで、正確なJSON-LDコードを生成してくれます。
WordPressプラグイン(Yoast SEO / Rank Math / All in One SEO):これらのSEOプラグインには、基本的な構造化データ(Article, Organization, Breadcrumbなど)を自動出力する機能が標準搭載されています。
実装後は必ず、Googleが正しくコードを認識できるかテストを行います。
リッチリザルト テスト(Google公式):URLを入力、またはコードを貼り付けてテストを実行します。構文エラーがないか、リッチリザルトの要件を満たしているかを確認できます。
スキーマ マークアップ検証ツール(Schema Markup Validator):Schema.org公式の検証ツールです。Google独自の要件以外の、Schema.orgの文法的な正しさをチェックできます。
Google サーチコンソール:実装して数日〜数週間経つと、サーチコンソールの「拡張」メニューに構造化データのレポートが表示されます。サイト全体でのエラー状況や警告をモニタリングできます。
以下のワークフローで品質を担保しましょう。
1.「リッチリザルトテスト」で個別のURLをチェックし、警告やエラーがないか確認。
2.公開後、数日から1週間程度で「Googleサーチコンソール」の拡張レポートを確認し、サイト全体のインデックス状況を把握。
3.エラーが報告された場合は、示された行数やプロパティ名を確認し、構文またはプロパティの必須項目の不足を修正します。
特にサーチコンソールでは、一度修正して「修正を検証」ボタンを押すことで、再クロールの優先順位を上げ、エラー解消を早めることができます。
生成AIは、JSON-LDの作成を大幅に効率化します。ただし任せてよい工程と、人が担保すべき工程を分ける必要があります。
AIに任せる:ページの内容(タイトル、見出し、本文、FAQ)を渡し、「Schema.orgに準拠したJSON-LDを生成して」と指示すれば、たたき台は数秒で得られます。プロパティ名の調査や、複数タイプの組み合わせも得意です。
人が担保する:本文との一致の確認です。AIは「それらしい値」を補完してしまうため、ページに書かれていない情報が混入していないかを人の目で確認する必要があります。
この分担は、当社が AI SEOとは で述べている「AIに作業を任せ、人が経験と責任を担う」という原則と同じです。構造化データの実装も例外ではありません。
実務で必ず論点になるのが、JSON-LDをどうやって出力するかという設計です。方法は3つあり、どれを選ぶかで運用の破綻しやすさが決まります。
① 静的手書き:各ページのHTMLに直接JSON-LDを書き込む方法。ページ数が少なければ機能しますが、増えると管理しきれなくなり、本文を修正したのにJSON-LDを直し忘れるという不一致が起きます。
② テンプレート駆動(推奨):不一致が原理的に起こり得なくなります。
③ データソース駆動:CMSやAPI、データベースを単一の情報源とし、配信時にJSON-LDを生成する方法。理想形であり、ヘッドレス構成やAI Ready Webの思想とも一致します。
そしてもう1つ、実装上の重要なテクニックが @graph です。1ページに複数のスキーマ(Article、Person、Organization、BreadcrumbList、FAQPage)が必要な場合、scriptタグを乱立させるのではなく、@graph で1つの配列にまとめます。各ノードに @id という一意の識別子を付け、他のノードはその @id を参照するだけにする。これにより、同じ組織情報を何度も書き写す必要がなくなり、矛盾が生じなくなります。
重要な原則として、JSON-LDは「ページ上の内容と一致していること」が絶対条件です。だからこそ手書きではなく、本文を描画している変数から生成すべきなのです。これは本記事の冒頭で述べた「情報の構造化 → マークアップ」という順序を、実装レベルで体現したものにほかなりません。
ここで、冒頭に掲げた矛盾に答えます。実施企業の9割超が効果を実感している。それなのに、明確な成果を上げている「構造化成功グループ」は実施企業のわずか11%(全体では2.5%)にとどまります。同じ「実施している企業」の中で、なぜこれほど差がつくのか。答えは、実施はしたものの中途半端で止まっている企業が大半だからです。
当社の調査で、構造化を実施している企業をクラスター分析したところ、最大勢力は「構造化消極展開グループ」で実施企業の54%を占めました。構造化を進めてはみたものの、扱うデータの種類が少ないためビジネスへの好影響も乏しく、今後の拡大にも消極的な層です。
成功グループとの違いは明確でした。成功グループは平均5.8分野のデータを構造化しているのに対し、それ以外は平均1.5分野にとどまります。設定している効果指標の数も、6.1個に対して1.7個。つまり、種類の少なさと、測定設計の甘さが、成否を分けています(クラスター分析のサンプル数は限られるため、あくまで傾向としてご覧ください)。
組織情報を1つ入れて満足してしまう、これが最も多い失敗です。構造化データは、複数のタイプを組み合わせ、それぞれの効果を測りながら育てていく施策です。最初から「何をどこまで構造化し、何で効果を測るか」の計画を持って始めることが、2.5%側に立つ条件になります。
最も重要なルールは、「構造化データで記述する内容は、ユーザーがブラウザで見ているページ上の内容と一致していなければならない」ということです。
ページ上に書いていない情報を構造化データだけでGoogleに伝えたり(隠しテキスト)、実際とは異なる評価や価格を記述したりすることはスパム行為とみなされます。Googleの「手動による対策(ペナルティ)」の対象となり、検索順位が下落する可能性があります。構造化データをヘッドレスCMSのデータ部として使用し、そこからページを生成するという、当社が提唱するAI Ready Webのおすすめ実装方式であれば、このようなことは発生しづらいことも付け加えておきます。
正しく実装しても、リッチリザルトが必ず表示されるとは限りません。Googleは検索クエリやユーザーの状況に応じて表示を判断するため、実装は「表示の必要条件」であって「十分条件」ではないのです。
ここで、本記事の前半で述べた論点に戻ります。リッチリザルトが表示されなくても、AIに対して意味を正確に伝えたという価値は残ります。順位も保証されず、リッチリザルトも保証されない。それでも構造化データを実装する理由は、AIに選ばれる情報源になるための条件だからです。目に見える表示だけを目的にすると、この本質を見失います。
SEO(検索エンジン最適化)に続く新しい概念として、GEO(生成エンジン最適化)が注目されています。これは、ChatGPTやGoogle AI Overviewといった生成AIエンジンに対し、自社のコンテンツが見つけられ、正しく理解され、回答として生成されるように最適化する取り組みを指します。
従来のSEOが「検索結果からのクリック」を目指すものだとすれば、GEOは「AIによる回答での引用・参照」を目指します。両者は対立するものではなく、補完し合う関係、拡張する関係にあります。なお、クリックされずに検索が完結する「ゼロクリック」がなぜ経営課題なのかについては ゼロクリック時代のWeb集客戦略で論じています。
構造化データとは、突き詰めればAIに対する自己紹介です。「我々は何者で、何を提供していて、誰が語っているのか」を、機械が誤解しない形式で宣言する行為にほかなりません。
前述のエンティティの話を思い出してください。人間同士なら、名刺を渡し、経歴を語れば理解されます。しかしAIは、Web上の情報を機械的に読み取るしかありません。自己紹介が曖昧なら、同名の他社と混同されるか、そもそも認識されずに終わります。
そして自己紹介が正確に伝わっている企業だけが、AIの回答で名前を挙げられます。「〇〇の分野で信頼できる会社は?」という問いに対して、AIが候補に挙げるかどうかの分かれ目に、この自己紹介があります。企業全体をAI対応にするという広い観点は AI-Readyな企業に欠けている視点 で扱っています。
構造化データは、外部の検索エンジンやAIだけでなく、自社サイト内のAIチャットボットの回答精度向上にも貢献します。
近年、企業Webサイトに導入が進むAIチャットは、サイト内の情報を参照して回答を生成します(2025年末時点での中心技術はRAG=検索拡張生成)。このとき、参照元のデータが構造化されていると、AIは情報の意味や関係性を正確に理解でき、的確な回答を返せるようになります。詳しくは AI自然文サイト内検索の仕組みおよび AIチャットが変える企業Webサイトの新しい姿 をご覧ください。
逆に、情報が非構造化データのみの場合、AIは文脈を誤解したり、関連性の低い情報を返したりするリスクが高まります。顧客対応の自動化やコールセンター負荷軽減を目指す企業にとって、構造化データの整備は前提条件となりつつあるのです。
2025年に開催されたイベント「Google Search Central Live Tokyo」においても、GoogleはAI時代の検索対策について言及しました。その中で「AI OverviewやAI Modeに対して、特別な専用の対策は不要である」という趣旨の発言がありました。これは対策をしなくて良いという意味ではありません。Googleが伝えたかったのは、「従来から推奨してきた正確で構造化された情報提供をAI機能にも活用している」という意味です。
つまり、構造化データの実装は『新しいAI対策』ではなく、『以前からやるべきだった正しい情報設計が、ようやく報われる時代になった』と捉えるべきです。
本記事の前半で、私たちは「構造化データに直接的な順位効果はない」という事実から出発しました。その事実は今も変わっていません。変わったのは、正しい情報設計に対する報われ方です。順位という形では報われなかったものが、AIに引用されるという形で報われ始めた。構造化データの実装は、AI時代においても変わらず、むしろこれまで以上に重要な「Webの基礎体力」となっているのです。
結論から言えば、構造化データを解説する記事が構造化データを実装していなければ、説得力がありません。そこで本記事自身を、ここまで解説してきた設計思想どおりに実装しました。実際のコードを公開します。
1つの script タグに 5 つのスキーマをまとめ、@id で相互参照する
@id: 記事URL#article
@id: /#person-kai
@id: /#organization
ページ階層
本文 Q&A と完全一致
本記事には5つのスキーマが必要です。記事そのもの(Article)、著者(Person)、発行組織(Organization)、パンくず(BreadcrumbList)、そして末尾のFAQ(FAQPage)。これらを @graph で1つにまとめ、@id で相互参照させています。
<?php // 本文のFAQ描画にも使う配列(同一ソース=不一致が起きない) $faq = [ ['q'=>'構造化データはSEOの順位に直接効果がありますか?', 'a'=>'直接的な順位上昇要因ではありません。ただし…'], // 以下、本文に表示するFAQと同じ設問・回答を定義 ];
$graph = [ '@context' => 'https://schema.org', '@graph' => [ [ '@type'=>'Article', '@id'=>$canonical.'#article', 'headline'=>$page_title, 'datePublished'=>'2025-12-24', 'dateModified'=>$last_modified, 'mainEntityOfPage'=>['@id'=>$canonical], 'author'=>['@id'=>'https://unisrv.jp/#person-kai'], 'publisher'=>['@id'=>'https://unisrv.jp/#organization'] ], [ '@type'=>'Person', '@id'=>'https://unisrv.jp/#person-kai', 'name'=>'甲斐 博一', 'jobTitle'=>'CMO', 'knowsAbout'=>['B2Bマーケティング','SEO','構造化データ'], 'url'=>'https://unisrv.jp/company/member/kai/', 'worksFor'=>['@id'=>'https://unisrv.jp/#organization'] ], [ '@type'=>'Organization', '@id'=>'https://unisrv.jp/#organization', 'name'=>'ユニファイド・サービス株式会社', 'url'=>'https://unisrv.jp/' ], [ '@type'=>'BreadcrumbList', /* 省略 */ ], [ '@type'=>'FAQPage', 'mainEntity'=>array_map(function($f){ return ['@type'=>'Question','name'=>$f['q'], 'acceptedAnswer'=>['@type'=>'Answer','text'=>$f['a']]]; }, $faq) ], ], ]; ?> |
設計の要点は3つです。第一に、Organizationを1回だけ定義し、ArticleのpublisherとPersonのworksForから @id で参照している点。同じ組織情報を3回書き写せば、いつか食い違います。第二に、$faq 配列を本文のFAQ描画とFAQPageの生成の両方に使っている点。これにより「本文と構造化データの不一致」が構造的に起こり得なくなります。第三に、著者を author として宣言している点、本記事は監修ではなく本人執筆だからです。
私たちはこの記事で説いた内容を、この記事自身で実践しています。構造化データを提供する立場として、これは最低限の作法だと考えています。
・ 2つの意味:データ分析用語と混同せず、SEO/Web分野の「機械への説明書」として理解する
・ 直接効果はない:構造化データは順位を直接上げる要因ではない。ただし①リッチリザルトによるCTR向上、②AIに引用される条件、という間接効果は明確に存在する
・ 位置づけの変化:「リッチリザルトのための施策」から「AIに選ばれる情報源になるための必須条件」へ
・ 実装:JSON-LD形式(推奨)で、@graph にまとめ、本文と同一ソースから生成する
・ 効果はほぼ確実に出る:実施企業のSEO 92%/サイト内検索 92%/UX 93%が貢献を実感。ただし成功しているのは全体の2.5% (*)ここでいうSEO効果は必ずしも検索結果上位表示ではない
・ 成否を分けるのは種類と測定:実施企業の54%は「1種類入れて終わり」で効果が出ていない。複数タイプ+効果指標の設計が条件
Webサイト上の情報を正しく構造化し、AIが理解しやすい状態に整備することは、「AI-Ready(AI受け入れ準備ができている状態)」なWebサイトを実現する第一歩です。これからのWebサイトは、人間のユーザーに見やすく、使いやすいだけでなく、AIという新たな訪問者に対しても親切である必要があります。
ただし、1ページに手書きでJSON-LDを足していく作業と、全社のデータを整備して継続的に運用することは、まったく別の難易度です。本記事で解説した実装は、その入り口にすぎません。商品情報、店舗情報、価格、在庫情報など各部署に散在するデータを統合し、AIが参照できる形で配信し続ける仕組みをつくる。ここが将来を見据えた実質的な境界線です。そしてその適切な入口がWebである、と筆者は考えています。
当社の調査でも、構造化に着手できない理由の上位は「人材が不足している(21%)」「社内にスキルがない(20%)」「コスト・手間がかかる(17%)」でした。技術的な難しさよりも、リソースの問題が壁になっています。実際、構造化を実施している企業の57%が外部のサポート(コンサルタント・ツール等)を利用しており、自力だけで完結させている企業はむしろ少数派です。
本記事の手順どおりに、1ページずつ実装していくことは十分に可能です。しかし、全社のデータを統合し、仕組みとして回すとなると話は別です。マークアップ以前に、どのデータをどこで一元管理し、何と連携させるのか——その設計が必要になるからです。
当社はこの考え方を「構造化データを活かすAI対応Webサイト構築」で解説しています。ヘッドレスCMSを単一の情報源とし、分類体系やAI検索基盤と連携させる、というアーキテクチャの全体像です。ただし、何をどこまで構造化し、どのコンポーネントを組み合わせるかは各社ごとの課題によって変わります。自社にとっての最適解は、そこから個別に設計していくことになります。
こうした構造化データの整備を含め、AI時代のWebサイト全体をどう設計するかは「Unisrv AI Ready Web®」として体系化しています。全体像は AI対応Web構築(Unisrv AI Ready Web)でご確認いただけます。自社の状況に合わせた進め方は、無料相談でご相談ください。
必須ではありませんが、有利に働きます。AIは意味が明確なデータを優先的に参照する傾向があるためです。あわせて一次情報や著者情報など、構造化データ以外の要素も重要になります(→ AI SEOとは)。
最終更新日:2026年9月1日(公開日:2025年12月24日)
この記事の著者

甲斐 博一
ユニファイド・サービス株式会社 CMO
グローバルIT企業における23年間のマーケティング経験に経営企画のスキルも加えB2B/B2Cともに経営とマーケティングを結び付けていくことをモットーとする。また、数多くのデジタルマーケティングおよびECの立ち上げや衰退ビジネスの立て直しも経験し、Webサイトを事業に貢献させてきた経歴を持つ。現在はユニファイド・サービスにて、B2B領域のビジネスにフォーカスし、CMOとしてマーケティングを推進すると同時に、新規事業計画と成長を支援する活動を並行して実践中。経営とマーケティング、事業企画、そしてリーダーシップを次世代に伝えていくための活動もライフワークとして行っている。