データマネジメントや分析の文脈では、データの形式によって以下の3つに分類されます。
構造化データ(Structured Data):ExcelやCSV、RDB(リレーショナルデータベース)のように、行と列の概念があり、規則的に整理されたデータです。コンピュータでの処理や集計が容易です。
非構造化データ(Unstructured Data):メールの本文、Wordドキュメント、画像、動画、音声データなど、決まった構造を持たないデータです。そのままでは集計や分析が困難です。
半構造化データ(Semi-structured Data):XMLやJSON、HTMLのように、ある程度の構造(タグやキー)は持っているものの、RDBのような厳密な表形式ではないデータです。
データ形式 | 特徴 | 具体例 | 処理のしやすさ |
|---|---|---|---|
構造化データ | 行と列で規則的に整理 | Excel, CSV, SQL | ◎ 非常に容易 |
半構造化データ | タグやキーで構造定義 | XML, JSON, HTML | ○ 容易 |
非構造化データ | 形式が定まっていない | テキスト, 画像, 動画 | △ 困難 |
一方、SEOやWeb制作の現場で使われる「構造化データ」とは、Webページの内容を検索エンジンやAIが理解できる形式で記述したコード(メタデータ)のことを指します。
通常、人間が見るWebページはHTMLで書かれていますが、検索エンジン等のプログラムにとって、HTML上のテキストが「単なる文字の羅列」なのか「特定の商品名や価格」なのかを判別するのは容易ではありません。
そこで、「ここは商品名です」「これは価格です」「これは在庫状況です」といった意味情報を、機械が読める形式(Schema.orgなどの規格)で記述したものが、本記事で解説する構造化データです。いわば、「検索エンジンやAIのための説明書」とも言えます。
なお、SEO/Web分野の構造化データも、正確にはデータ分類上「半構造化データ」に該当します。JSON-LDやXMLといった形式で記述されるためです。しかし、SEO文脈では「構造化データ」という呼称が定着しているため、本記事でもこの呼び方を使用します。
実務においては、「情報を構造化すること」と「構造化データをマークアップすること」を区別して考える必要があります。
情報の構造化:Webサイト内の情報を論理的に整理し、親子関係や関連性を明確にすることです。例えば、見出しタグ(h1, h2...)を適切に使ったり、パンくずリストを整備したり、情報同士の関係性(この製品はこのカテゴリに属する、この人物はこの組織に所属する等)を定義する作業が該当します。
構造化データマークアップ:整理された情報を、検索エンジンが理解できる特定のコード(JSON-LDなど)で記述し、HTMLに埋め込む作業です。
情報自体が整理されていなければ、正しいマークアップもできません。両者は密接に関連していますが、本質的には異なるステップです。AI時代においては、マークアップだけでなく、その前段階である「情報の構造化」が重要になります。
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私たち人間は、Webページを見て「これはラーメン屋の紹介記事だ」「店名は『中華そば〇〇』で、評価は星4つだ」と瞬時に理解できます。しかし、検索エンジンのクローラー(ロボット)は、HTMLを解析してテキストを読み取れても、その「意味」や「文脈」までは正確に理解できないこともあります。
例えば、「山田太郎」というテキストがあったとき、それが「人の名前」なのか、「小説の登場人物」なのか、あるいは「同名の店舗名」なのか、HTMLの記述だけでは断定できません。同様に「Apple」という単語も、文脈によって「果物のリンゴ」なのか「テクノロジー企業のApple」なのかが変わります。
この曖昧さを解消し、誤解なく情報を伝えるために構造化データが必要となるのです。
近年の検索エンジンは、キーワードマッチングだけでなく、「エンティティ(Entity)」という概念で情報を理解しようとしています。エンティティとは、人、場所、モノ、組織、イベント、概念など、一意に識別可能な情報の塊(実体)のことです。
Googleなどの検索エンジンは、世界中の情報を「ナレッジグラフ」と呼ばれる巨大なデータベースで管理しており、そこでは情報が単なるキーワードではなく、関係性を持ったエンティティとして保存されています。構造化データを実装することは、自社のWebサイト上の情報を、Googleのナレッジグラフ上のエンティティと正しく紐付ける(または新しいエンティティとして登録してもらう)ための確実な手段となります。
実務的には、自社の商品名やブランド名をエンティティとしてGoogleに認識させることで、同名の他社商品や一般名詞と区別され、ブランド検索での視認性が向上します。例えば「Apple」で検索した際に果物ではなくテクノロジー企業が表示されるのは、Appleがエンティティとして確立されているためです。
構造化データが正しく実装されていると、検索結果に通常のテキストだけでなく、画像、レビューの星、FAQ、価格などが追加表示されることがあります。これを「リッチリザルト(リッチスニペット)」と呼びます。
視覚的に目立つリッチリザルトは、ユーザーの目を引きやすく、クリック率(CTR)の大幅な向上が期待できます。検索順位が同じでも、リッチリザルトが表示されているだけで流入数が増加するケースは珍しくありません。
リッチリザルトは、検索ユーザーに対してページをクリックする前に有益な情報を提供し、視覚的なインパクトを与えることでクリック率(CTR)を飛躍的に向上させます。以下は、主要な種類とその効果をまとめたものです。
種類 | 表示内容 | 期待される効果 |
|---|---|---|
商品(Product) | 価格、在庫、レビュー星、配送料 | 購入意欲の高いユーザーの流入増 |
FAQ | 質問と回答のアコーディオン表示 | 画面専有面積の拡大と信頼性向上 |
求人(JobPosting) | 給与、勤務地、ロゴ、投稿日 | Googleしごと検索での視認性最大化 |
ここが現在のWeb戦略において最も重要なポイントです。Googleの「AI Overview(旧SGE)」やBingのAI検索、Gemini、ChatGPT、Claudeなど、検索結果に生成AIによる回答が表示される機能が普及し始めています。これらのAIは、情報をテキストとして読むだけでなく、「構造化された信頼できるデータ」を優先的に参照し、回答の根拠として引用する傾向があります。
構造化データによって、自社の商品やサービスを明確な「エンティティ」としてAIに認識させることは、AIによる回答生成時に自社情報が採用される確率を高める(GEO:生成エンジン最適化)ことにつながります。Microsoftも公式に、構造化データがAIの回答生成における主要な情報源の一つであることを認めています。
構造化データは以前から存在する技術ですが、2024年以降、その重要性が急速に見直されています。背景には、もちろん生成AIの社会への普及があります。従来、構造化データは「検索結果にリッチリザルトを出すための施策」として認識されてきたのもまた事実です。しかし現在は、「AIに選ばれる情報源になるための必須条件」へと位置づけが変化しています。
当社が国内企業を対象に実施した調査によると、Web情報の構造化に成功している企業はわずか2.5%にとどまります。一方で、構造化に取り組んだ企業の90%以上が「SEO効果」「AI対応」「業務効率化」のいずれかで効果を実感しているという結果も得られています。つまり、今から構造化データに取り組むことは、97.5%の競合他社に対する明確な差別化要因となり得ます。当社では、この取り組みを「AI Ready Web」の構築として体系化し、支援しています。
▶ 詳しい調査結果:Web情報構造化がもたらす競争優位性 - 先行企業2.5%から見る成功への道筋
ボキャブラリーとは、「何を記述するか」を定義した単語帳のような規格です。現在、世界標準として使われているのが「Schema.org」です。
Google、Microsoft、Yahoo!といった主要検索エンジンが共同で策定した、このSchema.orgでは、記述したい情報の種類を「タイプ(@type)」、その詳細な属性を「プロパティ」と呼びます。
タイプ例:Person(人)、Organization(組織)、Product(製品)
プロパティ例(Personの場合):name(名前)、jobTitle(肩書き)、worksFor(所属組織)
シンタックスとは、「どのように記述するか」という文法のことです。主に以下の3種類があります。
JSON-LD(ジェイソン・エルディー):JavaScriptを用いて記述する方法。HTMLのheadタグ内などにまとめて記述できるため、管理が容易。
Microdata:HTMLタグの中に直接属性を書き込む方法。HTML構造と密結合するため、修正が煩雑になりがち。
RDFa:Microdataと同様にHTMLタグ内に記述する規格。現在はあまり一般的ではない。
Googleは、実装や管理の容易さからJSON-LD形式を強く推奨しています。本記事でもJSON-LDでの記述を前提に解説します。
WordPressなどのCMSを使っている場合、JSON-LDはプラグインが自動生成してくれることも多くありますが、「何が出力されているか」を理解しておくことで、より精緻な設定やカスタマイズが可能になります。
シンタックス | 特徴 | Google推奨 | 実装場所 |
|---|---|---|---|
JSON-LD | JSオブジェクトとして記述 | ◎ 推奨 | scriptタグ内 |
Microdata | HTMLタグに属性を追加 | △ | HTMLタグ内 |
RDFa | XHTMLベースの拡張属性 | △ | HTMLタグ内 |
JSON-LDは以下のような基本構造を持ちます。
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Article",
"headline": "構造化データとは?",
"datePublished": "2024-01-01"
}
</script>
@context: "https://schema.org" を指定し、Schema.orgのボキャブラリーを使用することを宣言します。
@type: 情報の種類(ここでは記事を示すArticle)を指定します。
それ以降の行: そのタイプに対応したプロパティ(記事見出し、公開日など)を記述します。
JSON-LDを記述する際は、正しい構文(シンタックス)を守ることが不可欠です。以下に、多くのリッチリザルトで共通して使用できる基本テンプレートを示します。HTMLの <head> 内または <body> 内に、以下のコードをそのまま貼り付けて使用してください。(値の部分は自社の情報に書き換えてください)
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "WebPage",
"name": "ページタイトル",
"description": "ページの説明文",
"publisher": {
"@type": "Organization",
"name": "運営者名"
}
}
</script>
記述のポイントとして、すべてのプロパティ名と文字列の値は必ず二重引用符("")で囲む必要があります。また、最後のプロパティの後にはカンマを置かないというJSON特有のルールに注意しましょう。これらを守ることで、クローラーに正しく解析されるようになります。
・ カンマの過不足:各プロパティの末尾にはカンマが必要ですが、最後の項目の末尾にカンマを付けるとエラーになります。
・ 引用符の使い分け:必ず半角の二重引用符(")を使用し、全角や単一引用符(')は使用しないでください。
・ ネスト構造の整合性:中括弧 { } や角括弧 [ ] の対が正しく閉じられているか確認してください。
・ 制御文字の混入:コピー&ペーストの際に目に見えない改行コードやタブが混入し、パースエラーを起こすことがあります。
B2Bビジネスでは、自社サービスの内容をAIや検索エンジンに正確に伝えることが重要です。
Service:コンサルティング、SaaSサービス、業務支援サービスなど
SoftwareApplication:自社開発のソフトウェアやクラウドサービス
WebApplication:Webベースの業務アプリケーション
これらを実装することで、「〇〇を提供している会社」というエンティティとしての認識が強化され、AI検索で「〇〇サービスを提供している会社は?」という質問への回答候補になりやすくなります。
Product:ECサイト向け。商品名、価格、在庫状況、レビュー評価などを表示
LocalBusiness:実店舗向け、営業時間、住所、地図情報などを表示
Event:セミナーやイベント向け、開催日時、場所、チケット情報を表示
JobPosting:求人情報向け、給与、勤務地、雇用形態を表示し、Googleしごと検索に対応
HowTo:手順解説記事向け、ステップごとの画像やテキストを表示
Step 1:ページに適した「タイプ」を選ぶ
実装したいページの内容に最も合致するSchema.orgのタイプを選定します。会社概要ならOrganization、コラムならArticle、商品ページならProductです。
Step 2:コードを生成する(ツール活用 or 手動)
JSON-LDのコードを作成します。一から手書きするのはミスのもとになるため、後述する生成ツールの活用をおすすめします。
Step 3:HTMLに実装する
生成したコードをHTMLファイルの<head>タグ内、または<body>タグの終了直前などに貼り付けます。WordPressなどのCMSを使用している場合は、プラグインで自動挿入することも可能です。
Google 構造化データ マークアップ支援ツール:Google公式のツールです。WebページのURLを入力し、マウス操作で要素を選択するだけでHTMLコードを生成できます。
Schema Markup Generator (Merkle):技術系SEO会社Merkleが提供する無料ツール。フォームに必要な情報を入力するだけで、正確なJSON-LDコードを生成してくれます。非常に使いやすくおすすめです。
WordPressプラグイン(Yoast SEO / Rank Math / All in One SEO):これらのSEOプラグインには、基本的な構造化データ(Article, Organization, Breadcrumbなど)を自動出力する機能が標準搭載されています。
実装後は必ず、Googleが正しくコードを認識できるかテストを行います。
リッチリザルト テスト(Google公式):URLを入力、またはコードを貼り付けてテストを実行します。構文エラーがないか、リッチリザルトの要件を満たしているかを確認できます。
スキーマ マークアップ検証ツール(Schema Markup Validator):Schema.org公式の検証ツールです。Google独自の要件以外の、Schema.orgの文法的な正しさをチェックできます。
Google サーチコンソール:実装して数日〜数週間経つと、サーチコンソールの「拡張」メニューに構造化データのレポートが表示されます。サイト全体でのエラー状況や警告をモニタリングできます。
以下のワークフローで品質を担保しましょう。
1.「リッチリザルトテスト」で個別のURLをチェックし、警告やエラーがないか確認。
2.公開後、数日から1週間程度で「Googleサーチコンソール」の拡張レポートを確認し、サイト全体のインデックス状況を把握。
3.エラーが報告された場合は、示された行数やプロパティ名を確認し、構文またはプロパティの必須項目の不足を修正します。
特にサーチコンソールでは、一度修正して「修正を検証」ボタンを押すことで、再クロールの優先順位を上げ、エラー解消を早めることができます。
最も重要なルールは、「構造化データで記述する内容は、ユーザーがブラウザで見ているページ上の内容と一致していなければならない」ということです。
ページ上に書いていない情報を構造化データだけでGoogleに伝えたり(隠しテキスト)、実際とは異なる評価や価格を記述したりすることはスパム行為とみなされます。Googleの「手動による対策(ペナルティ)」の対象となり、検索順位が下落する可能性があります。
SEO(検索エンジン最適化)に続く新しい概念として、GEO(生成エンジン最適化)が注目されています。これは、Chat GPTやGoogle AI Overviewといった生成AIエンジンに対し、自社のコンテンツが見つけられ、正しく理解され、回答として生成されるように最適化する取り組みを指します。従来のSEOが「検索結果からのクリック」を目指すものだとすれば、GEOは「AIによる回答での引用・参照」を目指します。両者は対立するものではなく、補完し合う関係、拡張する関係にあります。
構造化データは、外部の検索エンジンやAIだけでなく、自社サイト内のAIチャットボットの回答精度向上にも貢献します。
近年、企業Webサイトに導入が進むAIチャットは、サイト内の情報を参照して回答を生成します(2025年末時点での中心技術はRAG=検索拡張生成)。このとき、参照元のデータが構造化されていると、AIは情報の意味や関係性を正確に理解でき、的確な回答を返せるようになります。つまり、今後はサイト内検索やAIチャットボットの行動化に向けて構造化データは必須のものとなります。
逆に、情報が非構造化データのみの場合、AIは文脈を誤解したり、関連性の低い情報を返したりするリスクが高まります。顧客対応の自動化やコールセンター負荷軽減を目指す企業にとって、構造化データの整備は前提条件となりつつあるのです。
2025年に開催されたイベント「Google Search Central Live Tokyo」においても、GoogleはAI時代の検索対策について言及しました。その中で「AI OverviewやAI Modeに対して、特別な専用の対策は不要である」という趣旨の発言がありました。これは対策をしなくて良いという意味ではありません。Googleが伝えたかったのは、「従来から推奨してきた正確で構造化された情報提供をAI機能にも活用している」という意味です。
つまり、構造化データの実装は『新しいAI対策』ではなく、『以前からやるべきだった正しい情報設計が、ようやく報われる時代になった』と捉えるべきです。構造化データの実装は、AI時代においても変わらず、むしろこれまで以上に重要な「Webの基礎体力」となっているのです。
以下に、本記事のポイントを箇条書きで整理します。
・ 2つの意味:データ分析用語と混同せず、SEO/Web分野の「機械への説明書」として理解する。
・ 5つのメリット:検索エンジンの理解促進によるSEO効果、リッチリザルトによるCTR向上、AI検索(GEO)での引用率向上、構造化データ再評価の時流、音声・マルチモーダル対応。
・ 実装:JSON-LD形式(推奨)で、Schema.orgの規格に従って記述する。
・ 競争優位性:国内で構造化に成功している企業はわずか2.5%。今から取り組むことで97.5%の競合に先んじられる。
・ 未来:AIが情報を収集・編集する時代において、自社情報を正しく構造化しておくことは必須要件となる。
Webサイト上の情報を正しく構造化し、AIが理解しやすい状態に整備することは、「AI Ready(AI受け入れ準備ができている状態)」なWebサイトを実現する第一歩です。これからのWebサイトは、人間のユーザーに見やすく、使いやすいだけでなく、AIという新たな訪問者に対しても親切である必要があります。
当社ユニファイド・サービスでは、構造化データの実装はもちろん、データ統合からAI活用までを一気通貫で支援する「Unisrv AI Ready Web®」を提供しています。「自社のサイトをAIに対応させたい」「構造化データをどう実装すればいいか分からない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
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2025年12月24日(最終更新日:2026年5月13日)
この記事の監修者

甲斐 博一
ユニファイド・サービス株式会社 CMO
グローバルIT企業における23年間のマーケティング経験に経営企画のスキルも加えB2B/B2Cともに経営とマーケティングを結び付けていくことをモットーとする。また、数多くのデジタルマーケティングおよびECの立ち上げや衰退ビジネスの立て直しも経験し、Webサイトを事業に貢献させてきた経歴を持つ。現在はユニファイド・サービスにて、B2B領域のビジネスにフォーカスし、CMOとしてマーケティングを推進すると同時に、新規事業計画と成長を支援する活動を並行して実践中。経営とマーケティング、事業企画、そしてリーダーシップを次世代に伝えていくための活動もライフワークとして行っている。