ここで、ゼロクリック時代の「2軸」に話を戻しましょう。
1つ目の軸である「AIに参照される情報基盤」を作るためには、自社の情報を構造化し、機械が理解しやすい形で整備する必要があります。Schema.orgに基づく構造化マークアップ、FAQ形式での情報整理、明確な階層構造を持ったサイト設計。これらは、AIが情報を正確に理解し、引用するための土台となります。
しかし、それだけでは不十分です。AIに「参照される」だけでなく、AIを通じて「人の心を動かす」必要があります。そのためには、N=1から得られた顧客理解や組織理解を、コンテンツに昇華させなければなりません。
日本企業のマーケティング部門は、多くの場合「広告宣伝」「販促」の延長として位置づけられてきました。このことは、本コラムのEpisode 2(https://unisrv.jp/knowledge/column_web_002.php)でも指摘した通りです。
顧客理解を深めることには熱心でも、それを「データ化」する発想、スキル、ツールを持っていないケースが多いのです。まずは提供する情報を構造化しようという発想、また非構造化データもそれがPowerPointの資料や音声データの生データとして眠っているだけで、データとして活用される状態にもっていけていません。
本コラムシリーズ「AI Ready Web」は、Episode 1(https://unisrv.jp/knowledge/column_web_001.php)から一貫して「情報の構造化」の重要性を訴えてきました。Episode 2(https://unisrv.jp/knowledge/column_web_002.php)では「マーケティング部門とWebサイトの関わり方」を問い、Episode 5(https://unisrv.jp/knowledge/column_web_005.php)では「構造化に成功している企業はわずか2.5%」という現実を示しました。
ゼロクリック時代の到来は、これら主張の正しさを証明されたと自負しています。AIに参照される情報基盤を持ち、同時に人の心を動かすコンテンツを発信できる企業だけが、この変化を乗り越えられます。
その土台となるのが、N=1から始まる顧客理解と、それをデータに落とし込むデータマネジメントであり、それを実現するためのマーケティングとITの融合です。
2026年2月10日
この記事を書いた人

甲斐 博一
ユニファイド・サービス株式会社 CMO
グローバルIT企業における23年間のマーケティング経験に経営企画のスキルも加えB2B/B2Cともに経営とマーケティングを結び付けていくことをモットーとする。また、数多くのデジタルマーケティングおよびECの立ち上げや衰退ビジネスの立て直しも経験し、Webサイトを事業に貢献させてきた経歴を持つ。現在はユニファイド・サービスにて、B2B領域のビジネスにフォーカスし、CMOとしてマーケティングを推進すると同時に、新規事業計画と成長を支援する活動を並行して実践中。経営とマーケティング、事業企画、そしてリーダーシップを次世代に伝えていくための活動もライフワークとして行っている。