2024年、生成AIの実用化が本格的に始まったことで、企業のデジタル戦略における優先順位は大きく変化しました。Web情報の構造化は、この変化の中で新たな重要性を帯びてきています。なぜなら、適切に構造化された情報は、従来の検索エンジンやWebサイト来訪者だけでなく、AIアルゴリズムにとっても高い価値を持つからです。
調査結果によると、構造化に成功している企業の多くは、すでにAI活用を視野に入れた取り組みを始めています。彼らは「各種データベースとして活用するため」「AI対応のため」といった将来を見据えた目的を持って構造化を推進しており、その比率は成功企業グループで特に高いことが明らかになりました。
一方で、実施企業、未実施企業に関わらず、構造化の重要性理解において管理職層と実務層との間に大きなギャップが存在していることもわかりました。課長クラス以上の管理職では43%が構造化の重要性を理解しているのに対し、実務層では20%程度に留まっています。このギャップを埋め、組織全体での理解を醸成することが、今後の企業間競争における重要な分岐点となるでしょう。
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Web情報構造化の実態をより詳しく見ていくと、現在の日本企業における取り組み状況が明確になってきます。全体の23%が構造化を実施し、25%が検討中である一方で、31%が未着手、さらに21%は構造化自体の意味を理解していないという結果が得られました。
また事業セグメントで分けてみた場合、B2B企業の方が少し進んでいるものの、B2C企業との間での取り組み状況に大きな差は見られませんでした。これは、Web情報構造化の重要性が特定の業態に限らず、すべてのビジネス領域で認識されていることを示唆しています。むしろ、業態による差よりも、組織的な理解度や取り組み方針による違いの方が大きく影響していることがわかりました。特に課長クラス以上の管理職がいる部門では、構造化への取り組みが積極的である傾向が顕著に表れています。
5つのグループとその特徴
構造化を実施している企業(23%)の中でも、その取り組み方や成果には大きな差があります。調査では、以下の4つの要素に基づいて企業をグループ分けしました。
・構造化実施時期(かけている時間)
・構造化されたデータの種類
・ビジネスへの貢献指標の数
・構造化への今後の投資意向
この分析から、5つの特徴的なグループが浮かび上がってきました。
1.構造化成功グループ(11%): 比較的長期の取り組みを行い、多様な構造化データを活用し、ビジネスへの好影響が多面的に現れているグループです。平均5.8種類のデータを構造化し、6.1個の効果指標で成果を測定しています。特筆すべきは、このグループの80%が構造化への積極的な情報収集を行っている点です。
2.構造化発展途中グループ(22%): 現在積極的に投資を進め、平均4.8種類のデータを構造化しているものの、まだ効果の実感は限定的なグループです。今後の拡大意欲が特に高く、71%が投資拡大意向を強く示しています。
3.構造化限定進行グループ(10%): 構造化は進めているものの、データの種類と効果が限定的なグループです。効果測定の指標も平均2.8個と、成功グループの半分以下に留まっています。
4.構造化消極展開グループ(54%): 構造化データの種類が少なく、効果も限定的で、今後の拡大にもあまり積極的ではないグループです。構造化データは平均1.5種類に留まり、投資意欲も低い傾向にあります。
5.構造化初心者グループ(3%): 取り組み開始直後で、まだ効果が見えていないグループです。しかし、このグループの中には、今後の積極的な展開を検討している企業も含まれています。

これらのグループ分類から、成功のカギは単なる取り組み期間の長さだけでなく、構造化データの多様性や効果測定の綿密さにあることが見えてきます。次章では、これらの成功要因をより詳しく見ていこうと思います。
構造化を実施している企業の中で、特に成果が顕著なのが以下の3つの分野です。
1.SEOへの貢献: 92%の企業が効果を実感しており、そのうち29%が「非常に貢献している」と回答しています。構造化データは検索エンジンによる情報理解を促進し、検索結果での表示品質向上に直接的に寄与しています。
2.サイト内検索の改善: 92%の企業が効果を認めており、31%が「非常に貢献している」と評価しています。構造化により情報の関連性が明確になり、ユーザーが求める情報への到達性が大幅に向上しています。
3.ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上: 93%の企業が効果を認識し、32%が「非常に貢献している」と回答しています。情報の整理された提示により、ユーザーの情報理解と行動促進が実現されています。
今度は、構造化未実施企業が直面している主要な障壁について焦点を当てたいと思います。回答結果からは、特に以下の3つが重要な課題として浮かび上がってきました。
1.人材とスキルの問題(41%): 最も多く挙げられた課題は、「人材が不足している」(21%)と「社内にスキルがない」(20%)という人材面での課題です。特に構造化の重要性を理解している企業群では、この課題を強く認識しており、44%がこの問題を指摘しています。
2.コストと工数の問題(30%): 「コストがかかる」「工数が必要」という回答が合計で30%を占めています。しかし、興味深いことに構造化の重要性を理解している企業では、この問題をリソース配分の課題として捉える傾向が強く、解決可能な課題として認識しています。
3.効果の不透明さ(29%): 「効果がわからない」(16%)、「必要性を感じない」(13%)という回答が見られます。特に構造化の重要性理解が低い企業群では、この比率が高くなる傾向にあります。
これらの課題に対する一つの解決策として、外部ベンダーの活用が挙げられます。調査によると、Web情報構造化実施企業の57%が外部サポートを利用しており、さらに29%が検討中です。特に成功企業グループでは、その活用率が80%に達しています。
外部ベンダー活用のポイントを少し整理してみました。
1.初期構築での活用: 技術的な課題を解決し、正しい構造化の基礎を築くために、立ち上げ段階での外部知見の活用が効果的です。
2.継続的な運用支援: 日々の更新や管理の負担を軽減し、内部リソースを戦略的な活用に集中させることができます。
3.ナレッジ移管の計画: 外部ベンダーのサポートを受けながら、段階的に内部での運用力を高めていくアプローチが有効と思われます。
また、外部ベンダーを活用している企業の方が、むしろ構造化への理解度が高く、より戦略的な活用を実現している点が注目されます。これは、外部の専門知識を取り入れることで、組織全体の構造化に対する理解と活用レベルが向上することを意味しています。
調査結果の分析を通して、Web情報構造化の成功に向けては、5つの明確なフェーズを意識した取り組みが重要であることが見えてきました。成功へのステップを以下のように分解し、それぞれのフェーズで重要な点をまとめてみました。
第1フェーズ:認知
・まずは構造化が意味するものと、その効果に対する多面的な理解を深めることが重要
・組織内での認知度と理解度には大きな差があり、全体の31%が「構造化を知らない」と回答している現状を踏まえると、この段階での丁寧な取り組みが不可欠
第2フェーズ:期待値設定
・ビジネス貢献分野を具体的に特定し、自社に当てはめた効果設定を行うフェーズ
・成功企業の特徴としては、平均6.1個の効果指標を設定し、多面的な期待値を明確化していることが挙げられる
第3フェーズ:導入
・構造化対象となるデータを特定し、段階的な実装計画を立案
・この段階では、投資計画との整合性を図ることが重要
・成功企業の多くが、この段階で外部ベンダーを効果的に活用
第4フェーズ:測定
・設定した効果指標に基づく測定と評価を行うフェーズ
・成功企業の特徴として、SEO、サイト内検索、UXという3つの基本指標に加え、コンバージョン率や問い合わせ数など、ビジネスに直結する指標も併せて測定
第5フェーズ:拡大
・構造化データの種類を増やしながら、効果の最大化を狙うフェーズ
・成功企業は平均5.8種類のデータを構造化しており、段階的な拡大を実現

2024年12月18日
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この記事を書いた人

甲斐 博一
ユニファイド・サービス株式会社 CMO
グローバルIT企業における23年間のマーケティング経験に経営企画のスキルも加えB2B/B2Cともに経営とマーケティングを結び付けていくことをモットーとする。また、数多くのデジタルマーケティングおよびECの立ち上げや衰退ビジネスの立て直しも経験し、Webサイトを事業に貢献させてきた経歴を持つ。現在はユニファイド・サービスにて、B2B領域のビジネスにフォーカスし、CMOとしてマーケティングを推進すると同時に、新規事業計画と成長を支援する活動を並行して実践中。経営とマーケティング、事業企画、そしてリーダーシップを次世代に伝えていくための活動もライフワークとして行っている。